プロのつぶやき

    週間コーヒーコラム238

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エスプレッソの可能性

気が付くと、もうひと月も前のことになってしまいましたが、未だ先ほど受けた衝撃のように鮮明にあの体験が蘇ってきます。シカゴではインテリジェンシアコーヒーを訪ね、今日のコーヒー・エスプレッソ・カプチーノ・ラテとそれぞれの特徴・魅力の出し方をしっかり身体に染み込ませてきました。その記憶を最初のたから物にしてアトランタへ向かいました。

アトランタのSCAAコンフェレンスでは、取りあえずぐるっとブース巡りをしてました。今回初参加の仲間も多いですから、なんだかんだ案内しながらいつもの風景・熱気を感じていました。で、あるブースの前を通ると、テーブルの上に3つのコーヒーがカッピングボールに用意されているではないですか。ん?と見ると、そこは《カウンターカルチャーコーヒー》というインテリジェンシアコーヒーと同じ位にスタートし、同じようにハイエンドスペシャルティコーヒー店として有名になってきている注目の会社のブースでした。

カッピングを勧めてくれたので、仲間と一緒に参加しました。たしかインドネシア・コロンビア・エチオピアイルガチェフェの3つでした。どれも素晴らしい!流石です。とりわけ《イルガチェフェ》には度肝を抜かれました。去年訪れたコパカフェのイルガチェフェの時と同じくらいのショックです。(プロのつぶやき185186

ここで、去年のコパカフェ・イルガチェフェの経験が役にたちました。必死にあのコーヒーの特徴を思いだしながら、且つ目の前のカッピングに集中します。ロースティングポイントが違います。カウンターカルチャーコーヒーのイルガチェフェのほうが少し深いです。見事にワイニー、しかもブルゴーニュの高級ワインのイメージに繋がってきます。少しの深煎りなのに、まったく煎りを意識させず、滑らかさ上品さ繊細さと一緒にフレーバーが惹きつけます。気が付くと僕ひとりだけしつこく冷め切ったコーヒーをカッピングしていました。

そして、興奮を引きずりながらブース巡りを続けました。次ぎはエスプレッソマシーンの《LA'MAZOCCO》のブースです。では、エスプレッソを飲もうかな、豆は何かな、とミルに入った豆を見ると幸運なことにインテリジェンシアのブラックキャットブレンドです。このブレンドがインテリジェンシアの看板ブレンドなんです、インドネシアを巧みに使いながらもアシディティの緊張感が隠し味になった素晴らしいブレンドです。(ブレンドのコンセプトとしてはうちのカフェガルーダと通じるものを感じてとっても勇気づけられました)
甘さとフレーバーが最初から飲み終わったあとの余韻まで印象的に続きます。

で、翌日再びLA'MAZOCCOのブースに立ち寄ると豆が変わっています。なんと、カウンターカルチャーコーヒーが使われています。隣に並んでいるミルにはインテリジェンシア、コパカフェと入っているではないですか!!今僕が一番興味のある
《インテリジェンシアコーヒー》

《カウンターカルチャーコーヒー》
《コパカフェ》
の3つを同時にエスプレッソで味わえるチャンスに恵まれました。これがあるから、遠くてもできるだけ実際に足を運ぶんですね。

さて、しつこくその3つのエスプレッソを比較しながら味わい尽くしましたが・・・見事にそれぞれのキャラクターが印象的に伝わってきました。素材や焙煎レベルはどれも同じように素晴らしいのですが・・・表現が違います。う〜ん楽しい楽しい!!こんな瞬間が一番楽しいです。ほとんど仕事と趣味が一緒になってます。

で、この体験で一番の収穫がありました。何回か同じマシーン、豆でエスプレッソをおかわりして・・・どれもセッティングがきちんと出来ていますから味として完成されています。スペシャルティコーヒーのエスプレッソとして、クリーンでスィートでマウスフィールが良くてアフターテイストが印象的で、過抽出でも抽出不足でも無いバランスのとれたエスプレッソです。まずこのレベルで安定したエスプレッソを提供できることがスペシャルティコーヒーのエスプレッソとして大切です。

その為に、素材のクオリティが高く、焙煎スキルが確立されていて、ブレンディングのセンスが磨かれていること・・・これだけでも相当ハードル高いですね。でも、ここまではエスプレッソで無くてもハイエンドスペシャルティコーヒーとしては当然クリアーしなければならないことです。

そこで、スペシャルティコーヒーのエスプレッソでなければいけない魅力がテーマになってきます。それがフレーバーです、素材も焙煎もブレンドも高いレベルで・・・マシーンのセッティングがピンポイントでマッチした瞬間・・・エスプレッソでしか出ないであろうフレーバーが立ち上がってくるのではないか!・・・これを感じました。幾つかのエスプレッソのフレーバーがそう思わせました。同じ豆でもピンポイントのセッティングでフレーバーのたちかたが際立つ瞬間がありますね。

ハイエンドスペシャルティコーヒーを使ったエスプレッソにしか無いフレーバーだと思います。そこにエスプレッソの可能性を見ました。イタリアスタイルでもシアトルスタイルでも無いハイエンドスペシャルティコーヒーエスプレッソの魅力。エスプレッソによるエキスの魅力、エスプレッソの乳化のパワーによって実現する魅力なんじゃないかな。プロのつぶやき231 そこに輸入文化の模倣から入って、コーヒーの魅力の本質に至る道筋が見えてきました。

長くなりましたが、そんなことを考えました。目指すエスプレッソの世界がようやく明確になってきたようです。(でも、カフェでそんなエスプレッソを安定して提供するのはちょっとハードル高すぎますね、ほんと趣味の世界になりそうです)

では、また・・・。

 

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2004年5月23日 坂本・コーヒーはフルーツだ!・孝文

 

 
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