週間コーヒーコラム98

紅茶用スプーン

珈琲屋が毎日飲む紅茶の魅力

 さかもとこーひーはこの8月で満8年になりました。 その前は紅茶の店テ・カーマリーを約10年やってました。 そんな坂本家は今でも毎日、或いは、週に3日4日朝はミルクティーです。 高3の長男は18年間そんなミルクティーを飲んでます、多分よその紅茶はほとんど飲んだことが無いんじゃないかな?(上の写真は愛用のティーメジャー、20年以上使ってます。)

 別に紅茶を淹れてくれ! とか、淹れろ! なんていったことは1回もありません。 朝、起きるとそこにミルクティーがはいって、おいてあります。 僕は、ふたくち・みくちで飲み干します。 それが何年も何年も続いてます。

 台所をしながら、お湯を沸かして、ポットを温め、ティーメジャーですくって、お湯を注ぐ、しばらく放っておいて、頃合いをみて、ポットの中をスプーンで混ぜて、つぎ分けます、あとはたっぷりの! えっ! と思うほど、紅茶が白っぽくなるほどの牛乳を入れます。 たったそれだけのこと!

 そこには、滋味でも飽きの来ない、静かな美味しさの世界があります。

 僕は、この10年位の紅茶関係者、ファン、マニアに失望してます。(自分が紅茶を仕事としなくなったので、声は小さいですが、、、)ダージリンのファーストフラッシュ、セカンドフラッシュがどうしたこうした、エステート物がどうした、、、そしてそれが高いのなんの!

 さかもとこーひーのお客様は月に1キロ2キロ3キロを家庭で飲まれる方は普通です。 そんな日常的に気軽にガブガブ楽しんでもらえることに満足感があります。(え〜そんなに飲めない、って方もいらっしゃると思いますが、30gを朝晩飲むだけで、2キロ位使いますね、だから美味しくて安いことが大切だと思います)

 大阪のムジカの堀江さんは、20数年前から月に1ポンド紅茶を飲む人を対象にしていたはずです。 この考えは珈琲の1キロに通じます。 その為には、毎日飲んで、飽きない美味しさ、負担にならない値段、が大切でしょう。

 珈琲の魅力はロースト(乾熱調理)によって生まれる香りと味わい、と思っています。 じゃぁ、紅茶の魅力は?、、、発酵によって生まれる香りと味わいでしょう。 香りは、フローラルでフルーティー、、、まるでスペシャルティコーヒーの世界ですね。 ただローストによるカラメル、ディープフライフレーバー、メラノイジン等の魅力はありませんね。 味は渋み、、、これも珈琲の酸味と一緒で、、、嫌われてますが、、、上質な肌理の細か〜い、後味の良い、渋みは本当に飽きの来ない魅力でいっぱいです。 たしかに、慣れないと馴染みにくいかもしれません。 そこに待ってました! と、登場するのが、ミルクです。

 僕は紅茶教室で必ず、ミルクティーの時、まず自分でミルクを入れて一口飲んでもらいます。 その後、僕がミルクを足していきます、、、、さぁ! そのミルクティーを飲むと、、、必ず必ず!「わぁ〜〜〜!おいしい〜〜〜!!なんで〜〜〜!!!」歓声があがります。 悔しいかな、この声は珈琲ではあがりません。(おっと!〈でした〉過去形です。プレミアムコーヒー時代の話しです。今はスペシャルティコーヒーですので、歓声がいっぱいです) 不思議ですね〜、子供でも大人でも、間違い無く、気に入ってもらえます。 ポイントはしっかり淹れた濃いめの紅茶とたっぷりのミルク。(我が家はディンブラが多いようです)渋みとミルクは本当に相性バッチリです。 これなら多少蒸らす時間が長くなっても全然OK! ミルクをその分多く入れればとっても美味しくなります。

 そんな渋みの魅力いっぱいのミルクティーの話題は、インターネットを始めた頃にいろいろと発信しましたが、(日常的に紅茶を楽しんでいる女性は同感してくれましたが) プロやマニアの皆さんはまるで反応がありませんでした。 時間がきたら、スプーンでポットの中を軽くかき混ぜることも非常に大切だと思ってますが(香りと味がクリアーになります)ポットを揺するくらいで、かき混ぜると渋くていやがるようです。 香りも分かりやすい、ダージリンがお好みのようです、都合良く渋みも弱いですし。(別にダージリンがダメとか云ってません、たまにゆっくりと楽しむのには良いと思います。)

 話しが、くどくなってきましたね、19日の日曜日にいつもの八丁堀めいぷるさんで、お客さんやチーム珈琲の味方メンバー相手の紅茶セミナーの先生を頼まれまして、どんな内容にしようかな〜と考えていたら、ふつふつと長年の思いがこみ上げてきました。 今は、スペシャルティコーヒーの可能性にエネルギーを投入できて、本当にご機嫌な毎日です。 あと1年2年したらどんなにか素晴らしい世界が開けてくるだろうと、ワクワクしてます。(まだまだ今の品質では満足してません) そんな流れの先には、《さかもとこーひー&てぃー》となって、紅茶の魅力も広めようと思ってます。 そんな、久しぶりの紅茶話しでした。

では、また、来週!

2001年8月11日 坂本・ディンブラ・孝文

 
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