グアテマラオークション・15種類のカッピング体験
「坂本さん、来た来た来ました!もう来ました。」5月の何日だったかは忘れましたが、下旬20日頃だったですね〜? 丸山珈琲健ちゃんからの電話です。 声が高い高い、もう直ぐに何が来たかは分かりましたが、、、「え〜っ?何が来たんだよ!興奮してるね〜!」「そんな〜、決まってるじゃないですか、あれですよ。」「ん、来た?グアテマラ!どお?」「いや〜、なんか凄っくセクシーな豆ですよ」「そお?よさそうだね〜!う〜っ気が急くね〜!」
マイアミのグアテマラブースでの出会い、カップ オブ エクセレンスオークションへの参加を決心、そして遂にその15種類のサンプルが来たんです。 健ちゃんは自分の目の前にある豆達を、「グリーンが濃いですよ〜、小粒でも固く締まってますね〜、いや〜良いかんじだな〜!」なんて云ってます。 僕は興奮するだけです。 聞いてるだけじゃ嫌なんで、「じゃあ、サンプルローストして、カッピングだね、手順はどうする?」 話しを進めます。
今回のオークションは健ちゃんが自分から参加表明しました。で、値段もロット数も未知数なので、我々個人レベルではリスクが大きく、危険です。 参加するからには、なんとかゲットしたい! それがメンバーの共通した思いです。 そこから当然のごとく、一瞬で、丸山・バグ・ヴォアラ・さかもとこーひーの零細個人オウンロースターチームが結成されました。「チーム珈琲の味方」と名前も決めました。 これで、ロットが多くても、値段が高くなっても、ある程度強気に指し値できます。
だから、サンプルも4人でカッピングします。 勿論、ブラインドです、健ちゃんも自分では分からないようにナンバリングしてあります。 サンプルロースターは初代フィスコ(これが事前のテストで良い仕事をすることが分かり、採用されました。 100gを火力全開で焙くと、な・なんとOKです。 見事に素材の優劣・キャラクターを浮かび上がらせます。)ポイントは煎り止めをどこでするか? スペシャルティコーヒーのサンプルローストは、従来のブラジル式よりも深めに煎り止めます。 深煎りにするケースが多いスペシャルティコーヒーにあったテストの為ですね。 僕らは、あまり深煎りにするとローストの香り・味が強くなり、微妙なアシディティや素材の可能性を見逃すかもしれないので、1ハゼ終了後20秒で煎り止めすることにしました。(Cup
of Excellence の実際の審査ではロースト段階を変えて、それぞれの点数を決めるそうです。深煎りで高得点だった豆が浅煎りでは伸びずに決勝に残れなかったり、逆もあるようです。わずかの差で決勝の15ロットに入れなかった豆にも素ん晴らしい豆があるんですね!コンペティションで順位をつける意味合いは大切ですが、あまりにも点数や順位にとらわれてもいけない!バランス感覚が必要とされます。どういう焙煎をして、その素材を活かした商品に仕立て上げるか?にもよるので、上位が凄くて、下位は劣る、そんなに単純では無いですよね!)
さぁ! サンプルが4人に送られました、平日だったので、僕は土曜日の休みにコンデションを整えてカッピングすることに決めました。 4人は定休日や仕事の流れで各自自由に日程を決めます。 そして、カッピング結果を健ちゃんにFAXします。
肝心のカッピングフォームです。
- まず、アロマをみます・・・粉に挽いた時(これがドライといって、最初に印象が強いので、重要です)お湯を注いだ時、泡の上ぶたをこわした時、この3つみます、1〜3点です。
しかし、トータルの得点には入りません。
- 欠点・・・発酵臭・薬品臭・カビ臭などの欠点があった時に1〜3点で付けます。 そして、3カップとった時はその内何カップでたかで、かけ算してそれに2を掛けて、合計点から引きます。
実際にはこのような素晴らしいコーヒーの時はまずありません。
ここからが、本番! 点数を付けて加算、順位を決めていきます。
- クリーンカップ・・・すっきりとして、爽やかな透明感をみます、8点満点。
- スィートネス・・・滑らかで、口に残る甘さ、8点満点。
- アシディティ・・・活き活きとさているか、爽やかか、酸の強さでは無く、質をみます。 とても重要です、4点満点。 重要なのに4点満点じゃ、矛盾してるように感じますが、このアシディティの質によって、クリーンさもスィートネス、フレーバー、ボディ、フィニッシュと全てに影響しますので、結果として総合点に反映されます。
- ボディ・・・口に含んだ時の量感、4点満点。 コクともいえますが、汚れた味の強い印象とは違います。 日本では汚れた味の強さと誤解されることが多いようです。
- フレーバー・・・テイスト、アロマ、風味、8点満点。 コーヒーを含んだ時の風味と香りです。
- フィニッシュ・・・後味、後口、8点満点。 コーヒーを飲み込んだ後や鼻孔に抜ける印象度。
- バランス・・・全体のバランス、8点満点。 単品でもみますが、ブレンドで特に重要です。
- オーバーオール・・・全体の評価、8点満点。
以上を個別に判断していき、トータルの点数を2倍にしたものがスコアになります。 100点満点ではありません。
ということで、説明が終わったので、いよいよカッピングに移ります。 時は6月2日土曜日、午前9時、ひとり神経集中します。 15サンプルを3×5回に分けてのカッピングです。 カップ、カッピングスプーン、水、お湯、カッピング記録表、ストップウオッチ、計り、忘れ物は無いかな?
8gを細かく挽きます、お湯を注いで、時間を計り、浮いた泡を取ります。 さぁ、いくぞ! 手元には各20gしかありません、失敗はかっこわるいです! 完全なブラインドテストです。 他の3人の評価は分かりません。 どこまで香りや味を取れるか? 的確な評価をできるか? 緊張してきます。 な〜んて書いてますが、実は楽しみのほうが大きかったですね〜! もうよそは見えません、邪魔も入りません、OKです。
- ドライ、粉の状態の香りです・・・フルーティー、フローラル、チョコレート、ワイニー、紅茶、ハニー、シロップ、スパイシー、ココア、、、、このくらい感じ取りました。
もう! くらくらしますよ〜! 全身アロマセラピーです。 フルーティーでもベリー(クランベリー、ラズベリー)やドライフルーツ、シトラス、アプリコット。
そうそう、ナッツも焼き栗もありました、ナッツでもローストしたヘーゼルナッツはとても魅力的です。
- そんな感じで3カップとっては次の3カップと間に少し休みを入れながら連続して行きます。 味は勢いよく口の中いっぱいに吹き付けながら、グーッと神経集中して感じ取ります。
クリーンさ、スィートネス、アシディティ、ボディ、フレーバー、フィニッシュ、バランス、オーバーオール。
- 爽やか、ライブリー(生き生き)、おだやか、少しライトボディ、印象的、やや重い、軽い、魅力的、心地よい、上質、甘い、きれい、おとなしい、かすかにざらつき、ややフラット、エクセレント、ぼやけた、余韻長い、柔らかな、スムース、ソフト、繊細な、複雑な、、、、この時に使った言葉です。
今ならまた違ったカッピング結果で、もう少しましな表現ができると思いますが、そんなふうに思えるのもこの怒濤の15ロットカッピングを経験したからです。 無事終わり、点数を集計して、健ちゃんにFAXすると、ごろっと横になり・・・ズズズズズ・・・気が付いたら、もう3時! いつの間にかぐっすり昼寝してました。
「えっ?結果はどうした?」そうそう、僕の《NO1》は「Filadelfia,Anthigua」(ブルボン種)で、コンペティションの順位は2位です。 僕のコメントは、グッド・エクセレント! アシディティ、非常にクリーン、印象的なフレーバーでフルーティーでベリーの感じがあります、その後にココアが感じます。 とても生き生きとした魅力的なコーヒー!
コンペティションの栄えある1位「Las Nubes, Oriente」(カツアイ種)は最初、評価が真ん中くらいです。 僕のコメントは心地よい・大人しい・上品・上質な印象、香りはシトラスなフルーティー、フローラルもある、バランスが抜群! となっています。 少し強烈さが物足りなくて、どう評価して良いのか迷っているのが分かります。 その後、2ハゼ直前で煎り止めたものを再度カッピングしました。 その時は、甘くフローラルな香り、非常に魅力的、滑らかさと甘さが印象的! とあります。 少しの煎り止めの違いで、デリケートな魅力がはっきりとでました。 やはり凄かった!
そうそう、僕らの大切な、コンペティション12位の「Danilandia,Santa Rosa」(カツアイ・ティピカ・ブルボン)は、僕の順位《6位》です、評価高いです。(楽しみですね〜!) コメントは、フルーティー(シトラス)な香り、甘さが印象的、クリーンカップ、とても魅力的な余韻・フィニッシュ! とあります。
あぁ、疲れました、この辺にしましょうか?
色々と点数つけましたが、どれもこれもスペシャルティで魅力的なコーヒーでした。 びみょうな差を見極める為に、点数化したりコメントを書きましたが、たいした素材! が4人の結論です。
では、《グアテマラ・ダニランディア》の入荷を待ちましょう。
なんか、ガクッと終わってしまいました、、、また来週!
2001年8月18日 坂本・ダニランディア・孝文
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