週間コーヒーコラム96

緊急発売! ケニア・ンディミ

 先週は「2001.スペシャルティコーヒーへの旅(1)」で、スペシャルティコーヒーの「アシディティ」について踏み込みはじめました。 さぁ、いよいよ今週は「アシディティの本質」に突入! のはずでしたが、、、、《急遽、新発売》のお知らせです。

 先週の「棚から鷲づかみ」でも、“「グアテマラ Cup of Excellence 」入庫まで約1ケ月、、、じつはそんなグアテマラに匹敵? 或いはそれ以上になる可能性を秘めた素材をサンプル、カッピングしてます。”と、匂わせていますが、これが、もう! 僕の気持ちを揺さぶり、ゆらゆら、ドキドキさせる素材でした。 その豆を今週は焙煎、カッピング、焙煎、カッピング、、、の連続で、よし! これでいこう!! と焙きあがりましたので、目出度く、お目見えです。

 しかし、〈1年前のITC国連コーヒーの本格的導入〉〜〈4月のマイアミSCAAの旅〉〜〈6月の「グアテマラ Cup of Excellence 」〉〜と、スペシャルティコーヒーがぐいぐい迫ってきます。 そう、こんどの素晴らしい珈琲も紛れもなくスペシャルティです。

 えっ? 前置きが長い! 失礼しました。 では、こちらが今我々の仲間で毎日毎晩、メール便宅配便で北海道から九州まで、サンプル珈琲が飛び交っている、『ケニア・ンディミ』です。

 さっそく、カッピングしてみましょう。(中煎りです)

  • 生豆は小さく小粒で青々としてます、ちょっと焙煎が難しそうですが職人魂を掻き立てる魅力的な豆です。
  • 粉に挽いて香りを嗅ぎます、もううっとりする気品ある香りが強烈に広がってきます。さぁ、なんの香りでしょう。最初は「フルーティー」が印象的です。あっ、シトラスがはっきり分かります。これが爽やかな印象を与えているんでしょう。「フローラル」も次に感じます、そうそうジャスミンのような白い花、そんな香りがただよっています。素晴らしいですね〜!珈琲ですよこれ、皆さん。おっと、時間がたつとチョコレートの香りがほのかに顔をのぞかせました。
  • お湯を注いで、飲んでみましょう。クリーンカップ透明感ですね、爽やかさが印象的です。フレーバーは粉の時の延長でフルーティーさフローラルさが香ってます。甘みコクボディがしっかりあります。爽やかなのでけっして重量感のあるタイプではないですが、とてもとても滑らかな感覚が強いです。オイル分が豊かなんですね。飲み終わっても何時までも何時までも、余韻が残ります。口の中に残る快感です、爽やかな印象と香りがふっ、ふっ、とよみがえってきます。
  • ここで待ってました、とばかりに登場するのが先週からのテーマ「アシディティ」君です。この「ケニア・ンディミ」を素ん晴らしい珈琲にしているのが、まさにスペシャルティと云える「アシディティ」のちからなんです。香りの特徴、味わいの透明感、後味の切れの良さ、奥行きのある量感、しっかりと感じる甘さ、そして繊細さ、全てにこの「いきいきとしたアシディティ」が効いてます。おまけに、飲む人をドキドキさせます。 精一杯書きましたが、これ以上続けると文学になってしまいますので、商売します。

緊急発売!「ケニア・ンディミ」
 1500円/500gパック
 1000円/250gパック です。
ご注文は今すぐ!こちらからどうぞ。
(発送は750gからです、(豆)か(粉)かお忘れなくお願いします。 2回目からのご注文はお名前と電話番号だけで結構です。)

 なんと、間違いなく僕が出会った珈琲の最高のひとつである「ケニア・ンディミ」が100g当たりたった300円です〜! さかもとこーひーの気合いが伝わりますね〜! 中煎り爽やか珈琲がお好みの方は勿論、深煎りコクまろ珈琲好きに方にもお勧めします。 まぁ一度お試し下さい、坂本が騒いでいるスペシャルティコーヒーが体験できます。

 記録的な暑さ熱さの今年の夏にもグッドタイミングなコーヒーです、こんな爽やかなコーヒーはホットで飲んで、暑さを消してくれます。

 

そして、こちらは、さかもとこーひー開店当初からの常連さんで、僕が相談にのってもらったり、ワイン仲間食事仲間、、、最近は落語仲間でもあるTさんの感想メールです。 一番最初にサンプル焙煎した午後、偶然いらして、おみやげに差し上げたところ、夕方には感想メールがきてました。 では、どうぞ、、、。
 

“先ほど頂いてきたコーヒー。 いったいこれは何物でしょう。

 持った感じが重いのですが、挽いていて、よく火が通っていることがわかります。

 すでに、酸味を感じるようなフルーツ系の香りがします。 お湯を注いでて、その香りがなお鮮明に。(ひょっとして、酸味が結構あるかしら?!) 抽出された色は、とても明るい赤茶系。

 あんまり見たこと無い色です。

 飲んでビックリ。 すごく柔らかい味(ブルマンもびっくり)。 それでいて、柔なブルマンとは違った(すごいブルマンは飲んだことがないので)厚みのある味。 とろっした甘みと旨味+通常のちょっと違った甘酸っぱい香り。 酸味は感じないのですが、香りには、そういう香りがあります。 コーヒーだけど、コーヒーじゃない味わいと言っても良いくらいだと思います。

 時間が経つと、やっと酸味と渋みが少し出てきて、コーヒーに近づいてきますが、これは、めちゃくちゃ高級コーヒーという感じです。 これ、凄いです。

 思わず、○○からメールしたくなりました。 凄く嬉しい気分です。”


で、続いて追伸がきました。


“確かに、シトラス系の香りがしますね。 カップについでおいて、鼻で嗅ぐと確かに分かります。 飲んで、その後感じる香りと豆を口に含んだ時の香りは似ていて、うまく表現できませんが、バナナのドライフルーツにあるような乾いた甘い香りがします。(柑橘とは違った感じの) 思わず追伸”


 Tさん、ありがとうございました。 このあと、焙煎、カッピングを繰り返して、完成度を高めています。

 

最後に、「ケニア ンディミ」のデータをまとめます。

 ケニアが昔好きで良く買って飲んでましたし、開店当時は販売してました。 粒が大きくて、どっしり重量感のある深煎り向きのコーヒーのイメージです。 しかし、このケニアは繊細でフルーティー、フローラル、爽やかなタイプです。 そして、これこそがケニアコーヒーが世界最高のコーヒーのひとつと云う評価を得た魅力だったようです。(じゃぁ、僕の知っていたケニアコーヒーは何だったんだ!)

(ケニアコーヒーの概要です。)  

  • 赤道直下に位置して、ケニア山麓2000m前後の高地です。
  • 気候は熱帯草原サバナ気候で、明瞭な雨期と乾期がみられます。
  • 3月〜5月と10月〜11月が雨期で、開花期が3月〜4月、9月〜10月の雨期の直後。
  • 収穫期は10月〜12月で60%、6月〜8月が40%だそうです。
  • 土壌は火山地帯でミネラル分が豊富だそうです。
  • コーヒーの実は1年間に6回程度人手によって摘まれ、成熟した実は果肉除去、ウォッシュド処理されます。
  • 発酵及び水洗処理後に「ドライテーブル」の上で天日乾燥され、これがケニアの生産工程の一番の特徴のようです。これは高くしたテーブル上で6週間手作業で上下の豆を入れ替えながらひっくり返す乾燥で、含水量が9%台で極めて乾燥度が高く、品質の安定に効果があるようです。(大規模農園によっては、人工乾燥機を使用することもあるそうです)
  • そして、ケニアコーヒーの高品質を支えている評価基準があります。《グレード》と《クラス》です。コーヒーの品質は〈外見上の品質〉と〈味覚面の品質〉とに分けられます。国際品質規格は外見上の品質を基本としています。生産国の輸出品質規格もそれに伴ったものになっています、味や香りの好みは地域、民族等によって色々ですから、外見上で規格を決めなければ、国際流通商品として困りますね。ブラジル式カップテイストは欠点チェックですので、味覚面の基準といっても区別が必要です。美味しさの基準にはなりません。(余談ですが、ここで誰もが疑問に感じる美味しさの評価基準!これを作り、進化させようとしているのが、SCAAのカッピング技術であり、スペシャルティコーヒーの世界です)そして、ケニアの特徴です。ケニアには味覚面の品質評価基準があります。それが”Standard ”と名付けられたクラシフィケーションです。ケニア国内では品質を表すものは”Standard ”であると考えられており各生産地、精製工場、ディーラーには”Liquorer ”(リカラー)と呼ばれるカップテスターがいて自主的に品質管理を行っています。

《グレード》、、、粒の大きさを表す外観上の評価基準

  • AA、、 粒の一番大きいグレード(スクリーン17〜18)
  • AB、、 粒のやや小さいグレード(スクリーン15〜16)
  • PB 、、丸い粒(ピーベリー)
  • C 、、、粒が不揃いで小さい(スクリーン14〜15)
  • その他、E、TT、T、UG、M’Buni、MH、MLと細かく分けているようです。

《クラス》、、、、味についての評価基準

  1. 、、ファイン
  2. 、、グッド
  3. 、、フェアー・トウ・グッド
  4. 、、F.A.Q(フェア・アベレージ・クオリティ)
  5. 、、フェア
  6. 、、プアー・トウ・フェアー

ヨーロッパ市場に流通しているクラスが1〜4、日本市場が4〜6、と云われます。

 僕が知っていた、日本のケニアは《グレード》AA、、、粒が大きいのが好かれるし、値段も取りやすいですからね。《クラス》4〜6、、、多分良いと思ったのが、クラス4で年々落ちてきたと思ったのが5や6なんでしょう。 そして、クラス1や2は《アシディティ》に特徴良さがあるので、日本の酸味酸っぱい症候群自家焙煎店やロースターには買ってもらえないので、その上価格も高いですから、更に大きい粒が見栄えが良いので、日本のケニアはAAのクラス4〜6に落ち着いた、こういうことかな?

 

ケニア・キリニャガ地区・ンディミエステート

  品種はケニアで開発された高地用のブルボン種=SL34(スマルティシュ・ラバルジ34)

《グレード》  AB、、 粒のやや小さいグレード(スクリーン15〜16)です。

《クラス2》  グッドです。

 リーファー(エアコン付き)コンテナで運び、定温倉庫で保管されています。

 ケニア・キリニャガのグレード(大きさ)についてブルボンの原種に近づけるほど粒の大小についてこだわれない(AB)結果、個性的で豊かなフレーバーを持つ味になる (大粒のAAの数量を確保するために他品種と交配合する結果、フレーバーの少ない平坦な味になる従来日本に輸入されているケニア豆はグレードAA安定供給の数量確保する為にクラスはFAQ以下のものにならざるを得ない) 以上、頑張ってまとめてみました。

 

 では、また、来週!

2001年7月28日 坂本・アシディティ・孝文

 
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