週間コーヒーコラム95

2001.スペシャルティコーヒーへの旅(1)

 先週で「マイアミ、シアトル、サンフランシスコ珈琲の旅リポート」が終わり、さて何を書こうか? 困ってます。 こういう時は最近あった出来事を振り返り、ひとつのきっかけをつないでつないで、テーマを浮かび上がらせましょう、さてどうなるか? と、云うことで、先週は「マルケンが伝えるスペシャルティコーヒーの今」丸山珈琲HPhttp://homepage2.nifty.com/maruyamacoffee/ ですね。 丸山健ちゃんから見た、そして今勉強している《スペシャルティコーヒー》を伝えていくそうです。 もうひとつ、ユニカフェhttp://www.unicafe.com/のSさんと研究室のTさんがわざわざ千葉のはずれまで訪ねてきてくださいました。 Tさんは昨年のSCAAコンフェレンスに参加して大きな衝撃を受けたそうで、このコラムを読んで僕に興味を持ったそうです。 で、じゃぁその時に何に衝撃を受けたのか? そこから熱い2時間がスタートしました。

 SCAAの組織力、コーヒーにかける情熱、、、、色々とあったようですが、《スペシャルティコーヒーのクオリティ!》これについて話しが弾みました。 そんな中、「アシディティ」についてのあれこれが一番大きなテーマになりましたね〜!

 健ちゃんのHPでもこの「アシディティ」について度々出てくると思いますし、SさんTさんとのお話しでも半分位はその話題でしたし、他の話題を話していても(香りや甘み、それとボディ(量感)の認識の誤解、、)アシディティがヒョッと顔を出します。 アシディティ、なんじゃそれは? 「活き活きとして爽やかな酸味」とでも云いましょうか? これを辞書通りに「酸味」と訳した瞬間から世界の品質、クオリティ、スペシャルティからどんどん遠ざかりますし、事実日本の素材は遥か遠くの低いレベルに来ちゃいました。 Tさんも仰っていたと思いますが、SCAAで衝撃を受けるまでは、アメリカのコーヒーなんて! と馬鹿にしていた、と。 日本のコーヒーは高品質なんだと、、、日本人の味覚は繊細なんだと、、、。(この辺のことは雑誌等でも時々みかけますが、僕は関心ありません。繊細な人もいるでしょうし、そうでない人も、、、)

 バグの郷さんは(さすが瀬戸内、奥さんの実家が蜜柑の栽培をしているそうです)本当に美味しい蜜柑は、甘みだけじゃ無くて爽やかな酸味のバランスが良くて、何個でも美味しく食べられる! と云っています。 僕はフルーツパーラーからこの仕事に入ったので、果物の味や香りのバランスは身にしみてます。 食べ頃に熟した果物は引き寄せられるような香りがあって、甘〜いと云わせますが、じつは心地よい酸味が全体の印象を決めています。 フレッシュジュースの味付けは、元々持っている甘み酸味をどう活かしていくか、結構勝負してました。 味の仕事について、喫茶だけだと幅が狭くて不安もあるので、何が良くて何が不味いのか? 色々と彷徨いました。 料理の味付けのポイントに酸味は良く登場します。 カクテルはアルコールと甘みと酸味のバランスが基本です。 ワイン、特に白ワインはカクテルと同じでアルコールと甘みと酸味のバランスで印象が決まってしまいます。 まぁ、このまま書いてると切りが無いので、そんな感じで止めときますが、他のジャンルでは酸味は誤解されないで、きちんと表現されていますね。

 そこでです!『コーヒーは昔から酸味が嫌われてきました。』ここですね!(頷いている人が多いでしょう!)

 実際、うちのお客さんでも「酸味の無いコーヒーをお願いします」とか、「私は酸味のコーヒーが嫌いです」そんなことが頻繁にあります。

 これが日本のコーヒーにまつわる深〜い問題に繋がるわけです。 確かに、重〜いどっしりとした、或いは胃にもたれる胸焼けするような、とても嫌な経験があったのでしょう。 僕もそういったコーヒーを飲むと、、、いや、一口で止めます。

 そんな問題から「新鮮さ」「不良豆のハンドピック」による解決が取られてきたんでしょう。 しかしそこには、酸化酸敗したコーヒー、未熟豆発酵豆虫食い豆、、、等の非常にネガティブな舌触りが悪い、体にも悪そうな豆の解決しかありません。

 僕がプレミアムコーヒーで経験してきた問題、最初良かった豆がだんだん悪くなってくる、1年後2年後には使えなくなってくる、、、そんな問題の根底には《アシディティ》に対する認識、コミニケーションの失敗があります。 確かに「新鮮」なので嫌な酸っぱさはありません。「ハンドピック」もしてますから、えぐみも臭さもありません。 しかし、舌全体を被うざらつき、渋み、辛み、、、、滑らかさが無くて、後味に切れが無く、香りが貧弱で、そうですね、粗いと云いましょうかラフな感じが強いですね、当然甘みも感じません。 そんな豆が来るんです。 えっ? 焙煎?、、、、そうですね、焙煎が下手だと良い豆でも生焙けで、香りも出ないし、嫌な焦げた苦味や刺激的な味わいにもなりますね。 ここは自分で云ってるだけですが、まぁ焙煎には問題無い! と思いますよ! そんなんで、使わなくなった豆がいくつあるでしょう? コロンビア、メキシコ、グアテマラ、コスタリカ、キューバ、ブルマン、タンザニア、ハイチ、エクアドル、、、、有名な産地がいっぱいです。

 済みません、気軽に纏めようと思って書き出したら、、、、全然終わりそうに無いので、この続きは次回(もっと続くかな?)です。

 日本のコーヒーがどういう素材が入ってきて、焙煎、焙煎機の問題があって、嗜好の壁があって、、、それらみんな関係している《アシディティ》の問題です。 面倒な話題になってますが《スペシャルティコーヒー》で云う《アシディティ》は美味しさの根底に関わって、香り、ボディ、後味の良さ、甘みの感じ方、透明感、全体の印象バランス、、、本当に大切なものです。 これを伝えたいので、よろしくお付き合いください。

では、また、来週!

2001年7月22日  坂本・アシディティ・孝文

 
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