マイアミSCAAリポートその(4)
いよいよクルージングパーティー、、、!
「 Sensory Training 1 : Tasting Kit 」「テイスティングキットを使用しての味覚トレーニング」で、集中力を使い切った我々は夜のパーティーまで、自由時間。取りあえず、ブース巡りをしながら英語に親しんでくる。
一端ホテルに帰り、着替えて、さて? どんなパーティーなんだろうと、期待と緊張のなか、みんな機嫌がいい。
乗船まであと少しになったとき、ブラジルのお嬢さんがいきなり日本語で話しかけてきました。 おおきな農園の方で鹿児島に住んでいたことがあるとか、一気に和やかになっていきます。
このパーティーはブラジルスペシャルティコーヒー協会の主催で、4階建てのフロアーはコーヒー関係者でぎっしり! マイアミの夜景を眺めながらのパーティーは映画の世界です。 SCAAの会長がいたと思えば、SCAE(ヨーロッパ)の会長、アメリカのスペシャルティコーヒーの有名ロースター、ヨーロッパのロースター、もちろんブラジルの名門農園のオーナーたち、、、、。
あちらこちらで、挨拶、握手、にぎやかなはなやかな交流です。
この方たちが、世界のトップ中のトップの豆を動かしているように感じました。
我々場違いな? グループもいくつかに分かれて徐々に馴染んでいきました。 しっかりテーブルについて食事を頂けば、同席した方とも健ちゃんの通訳で、自己紹介、コーヒーの話し、日本の状況説明、、、、。 盛り上がりました。 ブース巡りで顔見知りになった方と会えば、自然に笑顔で挨拶、、、、なんかいい感じでした。
そんなこんなで夜も更けて、この日が一番酔ったようです。(しかし、ラテンのお嬢さんは雰囲気がちがいますね〜!)
4月22日(日)
そして、やや二日酔いの朝がきました。 渡米前の追い込み猛烈な忙しさで疲れがたまり、やや風邪気味で咳が出ていたのが、直りません。 マイアミの雰囲気にも慣れて、船上パーティーでほんわか華やか気分、リラックスしたのが、ここで悪い方にでなければ良いのですが、、、。 朝食はシリアル、牛乳、オレンジ、ジュース、マフィン、ベーグルなんかを毎日食べてました。(オレンジ、牛乳、シリアルは美味しかったですね、それと会場のベーグル!)
午前中はバリスタ選手権を見たりブースの見学。 ウルフ片岡、コアラ田部井コンビがフットワークも軽く動き回ってます。 産地各国のスタンプを集めると香りのサンプル集がもらえるようで、20カ国のブースを求めてひたすらスタンプラリーしてたようです。 僕らおじさんマイアミビーチカルテット(ヴォアラ井ノ上・バグ郷・丸山健ちゃんと坂本)は焙煎機や産地のブースを回って、気になると質問責めの繰り返し!
会場は人人人、、、、、盛り上がってます。
コーヒーだけでこれだけの人が世界中から集まって来ています。 体調の悪さもなんのその、またもや興奮ハイテンション状態に突入して、ご機嫌スキップ気分です。
そして、午後からはテイスティングワークショップの本番です。
「 Tasting Workshop : Issue and Controversies :Acidity, Taints/Characteristics,
& Sweetness 」3:30〜5:00pm
「カップ評価をめぐる議論:酸味、汚れ、個性と甘味について」醗酵や味の汚れなどのカップをとる体験です。
1.【Acidity and Sweetness】(酸味と甘味)
- a. Sweet, no acidity(甘くて、酸味ない)
- b. Sweet, some acidity(甘く、少し酸味あり)
- c. Sweet, high acidity(甘く、少しバランスの取れた酸味あり)
- d. Not particularly sweet, high acidity(特に甘いというわけでなく、酸味強い)
最初に、4つの紙カップに、それぞれ青・赤・緑・黒と記入し、係員が「このコーヒーは青です」と色を指定してコーヒーを注いでまわります。
それをテイスティングして、a.〜d.のどれに当てはまるかを考えます。 そのときに自分なりにどう感じたのかも記入していきます。 また、ストレートとして、ブレンドとして使うならどれが好きか?も考えます。
「Acidity(アシディティ)」と「Sweetness」のバランスによってどう印象が変わるのか? 実際に体験して、ではそれをどうアピールするか? 真のプロの領域のテーマです!
ちなみに「Acidity(アシディティ)」これが世界のスペシャルティコーヒーと日本のプレミアムコーヒーの品質の大変大きな壁になっていることを、改めて感じ、認識しました。 「酸味」と訳すと、「日本で嫌われる酸っぱい重い酸味」と混同します。そうでは無くて、爽やかな、魅力的な意味での「Acidity」です。
僕の認識では、ボディにもフレーバーにも後味の切れフィニッシュにも、味わいの奥行き幅にも、爽快感にも影響するとても大切な要素です。「Acidity」の質が大きな問題です。
そして残念ながら、今までの日本のコマーシャルコーヒー、プレミアムコーヒーにはこの魅力は全くと云っていいほどありませんでした。
コーヒーの美味しさを求めると、これから日本の大きなテーマです。(この魅力的なアシディティがあるコーヒーは深煎りにして、ミルクと出会うととても美味しいものです、勿論ストレートでも!声が出ないほど美味しいラテやカプチーノは、そんなアシディティが影で大活躍してるんです!)
2.【Sweet ferment and fruitness in wet-processed
coffee 】(発酵の勉強)
- a.The taste of ripe fruit(熟した果物の味)
- b.slightly overripe fruit(少し過熟した果物の味)
- c.fruit just begininng to ferment(微妙だが発酵したばかり)
これは、3つのコーヒーをテイスティングし、a.〜c.のどれに当てはまるか考えていきます。 どういう味が発酵なのかの良い勉強になりました。
これは更に地味なプロの領域のテーマですね。
ワインや紅茶なら発酵が一番のテーマですけど、コーヒーで発酵?
そうなんです、コーヒーにとっても発酵は品質、美味しさの大きなハードルなんです。
果物であるコーヒーの実は未熟、未完熟、完熟、過熟、発酵と変わっていきます。 一般的にフルーツは実が大きくなるとさんま? いえいえ、酸味が増えます。 そしてある時点から酸味が減少して甘みが増えてきます。 果物はあおいと酸っぱくて、熟してくるとどんどん甘くなり、食べずに放っておくと発酵してきますね。 メロンなんか良く分かりますね、発酵して炭酸みたいな味になってきますから。(僕は最初修行に入ったフルーツパーラーで毎日マスクメロンでその辺の食べ頃のポイントを学んでました)
その辺がコーヒーの実をどんなタイミングで収穫するか? 味品質に大きく影響します、もっともコマーシャルコーヒーではそんなことは云ってられません、極一部のスペシャルティコーヒーの話しです。
で、過熟くらいまで我慢して直ぐに精選出来ればとても甘いコーヒーになるみたいですが、現実はそんなに甘くなくて、精選は遅れて、すぐに発酵へ進んでしまうようです。
発酵してしまえば、薬品臭、カビ臭、発酵臭、腐敗臭味の汚れ等に繋がりますからバツ!です。
じゃぁ、そのラインはどこまでとするか? それの勉強ですね!(厳密に云うとこれは「in wet-processed」ですから水洗式の精選方法における発酵工程にも関係してくるようですが、そこまで詳しくは分かりませんでした)
いやぁ〜、思わずガチンコの内容になってしまいました。(まるで、自分の為のノートを取っているようです)
ここまでお付き合いくださり、ありがとうございます。 もうそろそろ終わりにします。
そんな、完熟、過熟、醗酵までを飲み比べたり、スマトラの汚れた味をみました。 講師のケニス・デービス氏はスマトラに見られるようなカビ臭がささやかな範囲ならばかえってカップに好印象を与えることがあるのではないだろうかと問題提起?してました。(これはデリケートな高度なレベルのテーマなので、言葉から判断すると非常に危険だと思います、またスマトラは熱帯雨林気候で収穫期の天候に恵まれず、常に発酵の危険があるハンデキャップを背負っています)
ケニス・デービス氏はアメリカのコーヒーに関する高名なジャーナリストであり、また同時にカップテイスターとしても指導的立場にある方です。
実は前日、ブース巡りの途中で会場の裏側のカッピング用の小さなコーナーで、お話をするチャンスがあり、カッピング前なのにいろいろと質問に答えて頂きました。 ですから、この講義のあとは勿論ヴォアラ達ちゃんを先頭にしてまたまた質問のハリケーンです。
すみません、いい加減にして今日はもう止めましょう。
そんな濃い講義を受けて、興奮したまま廊下を行きふと! 横を見ると、様々なメーカーの様々なサンプルロースターがいっぱい並んでいる部屋がありました。
そうなんです、もう分かりますね、そうなると自然に我々の足は知らず知らずのうちに、誰の許可もなく、進入していきます。
そこには、さらなるクライマックスが待っていたんです!! ということで、続きます。
お疲れさまでした!
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