ラスナ マンデリンを飲む
2000年の秋に国連豆担当の方から突然云われました。
「坂本さん、在来種100%のマンデリンを開発してます。坂本さんの武器になると思うので、楽しみにしていてください。」
なんだなんだ! それは? 今のマンデリンが失ってしまった良さを持っている、とか集荷ルートを作るのが大変、とか断片的に聞くだけで、直ぐには全貌が見えてきません。
電話で話す機会がある度に少しづつ質問すると、ラスナというのは「昔からある物、原種」を意味する、約7000トン生産されるマンデリンのうち、在来種は既に約5%位しかない、等が分ってきました。
しかし、現物が入ってくるのは2001年の春頃になるので、それまでは実際の豆を見ることが出来ないし、味や香りも分りませんでした。
長年使っていたゴールデンマンデリンも2000年の夏前にはパワーいっぱいだったのが、秋には困るほどに質が落ちてきたし、こんな状態が続くようなら、マンデリンは使えなくなるな! と半分覚悟してました。
そんなあれこれがあって、遂に2月に入荷しました。
早速、袋を開けて手にすくって窓際に行きます。 見た目、アピアランスはきれいなオリーブ色、その色も揃っています。 粒も揃っています。 欠けた豆は見当たりません。 匂いを嗅ぎます。 生豆の状態なのに! 香りが心地よくフルーティです。 マンデリンG1クラスの生豆は匂った瞬間に急性鼻炎になりますが、全然埃臭くないです。
これは期待できます。
さぁ、焙煎です。 まだ、サンプルの1キロなので失敗できません。 でも、特に難しいことも無く、順調に焙けていきます。 感じが良いので、もう少しもう少しと焙いていったら、少し焙き過ぎました。
さぁ、テイスティングです。 ペーパーとコーヒーメーカーで試しました。
う〜ん、柔か〜い、おぉぉぉ!
なんという余韻の心地良さ。
直ぐに、半年分契約して、送ってもらいました。 今度は5キロで通常通り焙煎します。 焙煎進行も煎り止めも狂い無し!
ソフトソフトソフト!!!
優しい優しい優しい!!!
穏やか穏やか穏やか!!!
なんか珈琲の感想にふさわしくないような表現です。 しかし、軽くは無い! しっかりしたボディ、コク。 何時までも心地よく残る余韻と香り!
担当のK氏に電話すると、始めは僕が果たしてこのマンデリンの良さを分ってくれるか? 評価してくれるか? 不安な様子でした。(色々な自家焙煎店やロースターさんに対する不信感が根にあるようです)
あまりにもソフトな印象なので、マンデリンの癖や匂いを求める人には、これはマンデリンじゃ無い、なんて云われかねません。 しかし、ゆっくりと長く続く香り、余韻の良さは紛れも無く嘗てヨーロッパの人々が憧れた、マンデリンのエキゾチックなスパイシーさです。
ソフトというより、穏やかといった方が適切だと思う、この魅力は在来種の持っているもの、完熟豆の持っているものでしょう。 まさにスペシャリティコーヒーと云っても差し支え無い豆だと思います。
ゴールデンマンデリンは香りも味わいも強烈で、印象的でした。 Gマンデリンの方が高地で生産し、酸味が豊かで硬い味わいですね。 Gマンデリンが在来種で出来たら、タイプの違う素晴らしい比較になりそうですが、無い物ねだりですね。 柔らかで穏やかで優しい、しかもボディがあって余韻が長くて、、、、僕は「ラスナマンデリン」が何枚も上手と判断しました。
このクラスのマンデリンが入らなくなったら、マンデリンはもう扱えません!
そして、数日が経ちました。 優しいと思っていたキャラクターがグングン表情を変えていきます。 その奥に秘めていたパワー溢れる香り、コク!!
焙煎直後には隠れていた魅力に圧倒されて、打ちのめされました。 う〜ん、参った!!
もっと詳細な説明はコーヒー生豆レポートをご覧下さい。
|