週間コーヒーコラム49

グルメ、スペシャリティ、コマーシャルコーヒー生豆(3)

 と、云うことで、いよいよ3回もかかって本題の「スペシャリティコーヒー」に辿り着きました、お付き合い有難うございます。(思いっきり専門的ですが、私自身の理解の整理の意味が大です、ごめんなさい)

 では、「スペシャリティコーヒー」とは、
簡単に云うと、

  • 消費者の手に持つ「カップの中の液体」の風味が際立つ素晴らしさで、印象度のあるコーヒーであること。
  • そしてそのことに責任が持てる体制があること。

と知りました。
それだけじゃ何のことやら?分りません。
じゃあ、美味しければOKなのか?

  • コーヒー生産地、栽培場所の自然環境(気候を含む)、特に海抜標高、土壌の特性。
  • コーヒーの木の品種、在来種(ブルボン、ティピカ等)
  • 収穫時のチェリーの平均熟度、特に未完熟実の混入度合い(未熟実とは違う)
  • 精選処理方式、乾燥処理方式。

と云う条件が全てパッケージになっている事が条件だそうです。プレミアムコーヒーはこれらのひとつでも、あるいは幾つかが当てはまればセールスポイントになり高値で販売流通できるのです。(よって、プレミアムコーヒーはコマーシャルコーヒーのいちジャンルでしかありません)

 次に、じゃあ、条件を揃えていればOKなのか?ここで、カップテイストの品質評価基準の登場です。

 今までの、或はコマーシャルコーヒーでの、流通段階の国際品質規格には、味覚面での品質基準評価は対象となっていなかったのです!(非常に読みづらいですが、ようするに味を評価する物差しを使っていなかったと云うんですね)

 食文化、民族、個人差によって味の評価が違いますから(当然)、国際的に金儲け(取引)をするには、外見上の品質を使ってきたのです。(味覚の問題は消費国の問題として、、、)

 とは云っても、味の評価はされてきた訳です。

  • 「欠点チェックのブラジル方式」
  • 「風味の素晴らしさと印象度を評価するスペシャリティコーヒーに適用される方式」(やたら表現が長い方式だ)

 このふたつに分けられますが、日本においては「欠点をチェックするブラジル方式」が全てであると商社関係もロースター関係も誤解してきたわけです。

 あぁ、疲れてきた!でも今回で終わらせるので、頑張るぞ!(今日はお盆休みだし)

 まぁ、日本では、たいした味や香りのコーヒーでなくてもお客様にこれがコーヒーだと勝手に思い込ませて商いしていた未成熟な時代で、しかも訳のわからない輸入文化でしたから、ロマンを振りかけ文学に引きずりこめば、、、。(失礼しました、品の無いこと云ってしまいました)

 私は「ネガティブチェック」「ポジティブチェック」と呼んでますが、要は、いやな味香り(きつい苦味、重い酸化した酸味、いがらっぽさ、酸化臭、渋み、カビ臭、青くささ等)が少ないコーヒーが美味しいコーヒーだったのです。(この延長上にブルマン神話があると思ってます、今だにブルマンが店の顔だと云う方もいます)
 いかに、ネガティブな嫌な味香りを避けるか!ですね。(お茶を飲んできた人たちには、苦味の少ない飲みやすいコーヒーが美味しく感じたのでしょう)

 しかし、いくら頑張っても豆に無い味わいや香りは出てきません。(豆に無い香りや味わいの表現(チョコレートフレバー、フラワリー、フルーティー、ナッツ、スパイシー、カラメル、バニラ等)は磨かれようがありません)

 では、「スペシャリティコーヒーの品質評価基準」とは、「欠点(ブラジル方式)」+「フレバー(味香り)」+「後味」++「酸味の特徴」+「酸味の強さ」+「ボディ」によって評価するそうです。

 特に日本では「酸味」の感覚がすっぱい、酸化した意味合いで使われてきた背景があり、生産国では、日本は「良質な酸味」も嫌がるという常識があるので、なかなか良い酸味を持った豆が日本向けに出されないという問題まで繋がっているようです。(ヨーロッパや最近目覚めたアメリカはポジティブチェックで自分の欲しいタイプの高品質豆を選んじゃう訳です。そうしてリジェクト(退けた)した残り物が日本に回ってきて、自家焙煎店は最近豆の質が落ちてきた、産地はどうなってるんだ、と愚痴をこぼしていたんです)

 このように「酸味」の質と量の問題がコーヒーの風味に大きな影響があることが大きいと思いますし、実際に焙煎、テイスティングしていて実感します。あとは、個人的にコーヒーオイル、ワックス分が豊かな豆に私は魅力を感じます。付け加えると糖分の量もあります。

 あとは、低品質な酸味の乏しい低品質な豆は深煎りにした時に不味さが目立つとか、たっぷりのミルクと合わせると後味に切れが無く印象が弱い、あと酸味の様々なタイプ等まだまだありますが、書ききれないのでまたの機会にします。

 ということで、農産物としての優秀さが理解できる、とんでも無い魅力的な豆がスペシャリティコーヒーの世界にありそうだ!という結論です。(勿論、スペシャリティコーヒーが無条件で良いということは無いでしょう。そこで、ポジティブチェックのテイスティング能力が必要となるのです)

 そんな、生豆をサンプル焙煎していて、あと少しで発売になるご機嫌な毎日です。で、その国連生豆がスペシャリティコーヒーの範疇にあるのです。

 では、お疲れ様でした。実際のスペシャリティコーヒーの味わい、香りの世界はサンプリング倶楽部や当店の新発売のコーヒーで楽しんでください。」

 あっ、「グルメコーヒー」はスペシャリティコーヒーとプレミアムコーヒーの総称なのです。したがってグルメコーヒーと云われる、素晴らしいコーヒーも大したこと無いコーヒーもあるんです。プレミアムコーヒーにもたまたま素晴らしいコーヒーはあるのですが、期待はずれも多いということです。(帝飲食料新聞7/19号、林氏のレポートから主に学びました)

 
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