週間コーヒーコラム30

吉祥寺「もか」

 吉祥寺の名店「もか」の喫茶部門の終了のニュースが伝わってきました。1991年5月にも休店して豆売り専門店になるお知らせがありました。その5年ほど前にも豆売り専門にする予定があったようです。
 91年の時は多くの熱烈な「もか」ファンのお客様から直接或は電話や手紙で「何故だ!」という訴えがあったようです。その声援によって席数は減らしたものの喫茶は残り9年経ったわけです。

 しばらく前に標さんの引退の噂を聞きましたが、遂に 喫茶終了のようです。豆売りがあれば問題無いと思いますが、完全引退を視野に入れての喫茶終了でしょうから感慨深いものがあります。お疲れ様でした。

 偶然にも3、4日前に標さんの「珈琲の旅」を読み返しました。数えると標さんは還暦を過ぎていますか?この本を書いた時(1984年初版)が44歳とあります。私の今の年齢だ!パワーありますね。

 私が「もか」に始めて行ったのはランブルに行った翌年ですから23,4年前(標さんは30代)で、吉祥寺駅から探しながらたどり着いたことをはっきりと憶えています。

 その後、頻繁に通った時期で年に1、2回、ご無沙汰した時で3、4年に1回ずつ訪れては豆を買ってます。

 初めの頃は「ほろ苦ブレンド」が印象的でした。いまだに「もか」といえば「ほろ苦ブレンド」が最初に浮かびます。その後いつ行っても印象が変わりません。

 ランブルに行った時も、もかに行った時もあまりにも世間のコーヒーと違い、どうしたら出来るのかを思うと気が遠くなりました。その頃紅茶を淹れては飲む毎日だった私は今毎日焙煎してます。標さんや関口さんは当たり前のことを孤独の中でやりきっていたことも分るようになりました。

 あれから20数年経ち、もかやランブルで衝撃を受けた人々が全国にひろがり深煎りや自家焙煎が当たり前になり、時の魔術を感じます。

 コーヒーマーケットは成熟化を進んでいます。業界を引っ張っていく人の若返りを感じます。さあ、10年後20年後はどうなっているんでしょう。

 私は結構自家焙煎の世界は裾野がひろがり頂上も上がっていると思ってますが、、、。

 標さんが仰ってました。
「珈琲を淹れるのは2、3の約束事を守って下されば家庭でも充分美味しく味わえる。誰にでも簡単に珈琲を淹れて頂くためには、最高の素材(豆)をお渡しすれば良いと確信していたから豆にこだわってきたのです。」

 明日から又毎日焙煎して行きます!

 
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さかもとこーひー