続続 コーヒー本2冊
今回は2冊目の「コーヒーのテースティング」堀口俊英著柴田書店
2400円 です。
プロ向けの本ですので価格が高いと感じるかもしれませんが、これだけまとめるのは大変な労力を必要とします。まず、その情熱と行動力に敬意を表します。
堀口さんは自家焙煎店を始めて10年位らしいですが、この何年か業界内で積極的に発言をされて来ました。私は最初、ずいぶんパワーのある方だなーという印象で、その発言を見聞きすると、良く分る部分と情報量
の制限から今ひとつ真意が伝わりづらい部分がありました。
「ニュークロップ」「深煎り」「創造的なブレンド」「エスプレッソ」「高品質生豆」「焙煎理論」「最近の生豆の品質低下」等についてが私には印象に残っています。何回かはTEL、FAX、Eメール等で質問もしました。
そこでこの本の出版です。読んだ感想は「納得」です。
まず、「高品質な生豆から生まれる香り、味を求めていること。」「旧来の安定した、まとまりのあるブレンドから創造的なブレンドへ」の2点が私の求めている方向と一致しています。その為には農産物としての生豆がどういう生育過程を経てきたものか、保存状態はどうだったのか、その質を生かす焙煎、ブレンドはどうするか、等々クリアーする課題がはっきりしてきます。
勿論、細かな部分ではいろいろと違いがあります。特に違うのは、堀口さんはロースター志向があり(ご本人が仰ってます)卸、豆売り、カフェと幅広く展開しています。私は普通
の家庭でのコーヒーの楽しみに一番魅力を感じていますので卸や私が淹れることやカフェの経営にはあまり興味がありません。豆売りに徹してホームコーヒーの裏方になることを望んでいます。その他コーヒーの種類や味、香りの出し方は違って当たり前です。そこにそれぞれの個性や好み、どのようなお客様に支えられているかが反映されます。
しかし、大きくみると私のように納得している自家焙煎店ばかりではありません。堀口さんはご自身の信じるコーヒーのクオリティアップのためにかなりはっきりと、時には勢いあまってそこまで言うの?というくらい発言されます。当然考えの違う人からは反発があるでしょう。反発があった方が本にした意味が出てくると思います。この本に対して異を唱えてもこの本がひとつの物差しになっているということです。
この何年かの生豆の全般的な品質低下は、これ以上のクオリティアップの可能性を不安にさせていますが、反面
熱心な新しい自家焙煎店が増えることで新たな可能性を予感できます。私はあまり悲観してません。評価してくださるお客様が増えていますからこんなに力強いことはありませんので!
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