週間コーヒーコラム22

一歩前進

 HPを始めてからの楽しみのひとつがメールのやり取りです。当店のお客様からの「ホームページ見たよ」のメールや始めてコーヒーを買われた方からの感想はもちろん嬉しいものですが、今回は同業の方とのやり取りで受けた「刺激」のお話です。

 1ケ月ほど前にある自家焙煎店のご主人から当店のHPの感想とコーヒーのご注文を戴きました。コーヒーを送ると直ぐに丁寧なメールが届きました。嬉しいことにお褒めを戴きましたが、さらに貴重なアドバイスがありました。

 通常誉めることは(感心するようなコーヒーならば)簡単ですがわざわざアドバイスは、気心のしれた友人でないと、しないものです。私もある程度コミュニケーションがとれた方ににしか率直な意見はなかなか云えません。

 さて何と云われたのでしょう?

 焙煎機の構造からくる豆の蒸らし具合や、それが与える豆面や味についてのことでした。正直、私があまり重要視していないポイントでしたので、そういう見方、考え方があるのかくらいで、新鮮な意見でしたが軽く受け止めていました。しかし、その人のコーヒーを知らないと、せっかくのアドバイスも真意が伝わりません。さっそく私もコーヒーを注文しました。

 届くと真っ先に味見です。きれいに膨らんだ豆は充分期待させる面をしていました。そして、その香りと味はメールの言葉が見事に表現されていてその方の仰りたいことが一瞬で通 じました。

 なーるほど!

 でも、そのコーヒーの味わいは私の方向とは全く違います。ここからが、この仕事の楽しいところでして、さぁ、どうする!と考えこみます。そして、ピンときます。そのヒントを仮定、実行、検証する毎日が続きます。
 まず2つのパターンが出来そうだったので両方とも試します。テイスティングです。違う豆で試します。テイスティングです。さらに、、、。

 幸運なことにひとつのパターンが少し当店のコーヒーを前進させてくれました。どう変わったか?基本も豆も同じですから大きな変化はありません。大きく変わったら商品になりませんし、いまさら好みもそうは変わりません。試行錯誤のすえに出来あがってしまえば、簡単なことで今までなんでそうしなかったのかという位 の微調整です。
 しかし、毎日安定したコーヒーを焙こうとしているとこれが出来なかったんですね。少しづつ比べての結果 ですから、その過程をするだけのきっかけやエネルギーが足らなかった訳です。

 インターネットのおかげでメールをいただき、大切な同業の方と知り合うことが出来て、「1歩前進」しました。忙しい1月後半のなかで焙煎と販売に追われながらそんなことをしてました。

 ちょっと円い味になりました。あと5ケ月で45歳ですから多少円くなってもいいでしょう。

 
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さかもとこーひー