プロのつぶやき

    週間コーヒーコラム214

リビングリーム

日本離れした魅力

さかもとこーひーは、いよいよ2003年のエンディングに突入しました。今週は『ジングルベル♪セット』『ハッピーX'マス・ブレンド』『ベラ・ノッテ』・・・そして『ニカラグア』『ケニア』『《旬・瞬》カフェCセット』が続くそんな一週間でした。エチオピアブリ、パナマと毎日どんどん微妙な調整が進みました、ご機嫌に焙煎が進んでいます。え〜、『深煎り・中煎りニカラグア』『深煎り・中煎りケニア』と共に残り30キロを切っていますので・・・12月第一週前後で終わりそうです。コーヒーの最高峰の魅力を発揮してくれたと思ってます、どうも、ありがとうございました!いつものことですが、残り少なくなるとどうにも寂しさを感じますね。それこそ一期一会で、同じ農園の豆であってももう二度と無い出会いですから・・・。

今11/29(土)の夜中11時半ですが・・・このコラムを書く前にメールチェックをしたら、はじめての方からのメールが届いていました。なんでも、ケーキを検索していたらさかもとこーひーHPのケーキブックのコーナーに辿り着いたそうです。で、昔僕がやっていた〔テ・カーマリー〕という紅茶の店のお客さんだったそうです。それで懐かしく、とっても嬉しいメールだったんですが、どうにも引っかかる文がありました。

《私はそちらで、コーヒーではなく、フォートナムの紅茶をよく頂いたのですが、紅茶が濃く、ケーキがとてもおいしかった(当時の日本離れしていたというか)ので忘れられません。》

どうも、ありがとうございました!・・・この【当時の日本離れしていたというか】です。僕はそんな「日本離れした」美味しさなんて全く意識していませんでした。ただ単純に紅茶の魅力、それぞれのケーキの魅力に懸命だったんです。それはさかもとこーひーになってからも同じで、自家焙煎してコーヒーの魅力・・・今は『スペシャルティコーヒーの魅力』を楽しんでもらいたいだけなんですね。

それが、気が付かないうちに「日本離れ」して・・・お客さんと上手に噛み合わなくなってしまう、そんな癖があるようです。もっとも今はネットで全国の気の合うお客様と出会えますから、とっても快適なんです。ところが喫茶店の頃はお客様が近所の方ですから・・・なかなか大変でした。

紅茶なら、発酵によって生まれる香りや味わい・・・一般的に嫌われる『渋み』に、とっても魅力的な、甘みを感じさせる『渋み』があって、それが他の飲み物には無い紅茶の魅力であり、その良質な渋みや香りをどう伝えるかに集中していたんです。(昔やっていた紅茶教室でも、僕のミルクティーは8割9割の方が歓声をあげてくれました、良質な渋みって魅力的なんです)

ケーキも発想は同じで、クリームを使ったケーキ、フレッシュフルーツ、ドライフルーツ、チョコレート、それぞれの魅力を考えて作ったら街のケーキ屋さんとは全く違ったケーキになってました。ありふれたプリンでさえも、火の通し方のイメージひとつで全く別世界の魅力になるんです。

コーヒーになってからも、コーヒー独自の魅力ってなんだろうと思い、そうか!ローストだ、ローストってことは乾熱調理の魅力だ、そう考えました。今思うとかなり不完全なものでしたが・・・スペシャルティコーヒーのメソッドを知るようになっても、その頃と基本的な考え方は全く変わっていませんので、密かな自信になっています。

今は【コーヒーはフルーツだ!】ですから、理想的なフルーツの魅力、心地よく魅力的な酸・アシディティの良さや香りの素晴らしさを乾熱調理であるローストによって、どう発揮するか・・・そこに集中しています。
僕の仕事のスタートがフルーツパーラーだったのも今思うと幸運でしたね。

紅茶の渋みもコーヒーの酸・アシディティも、高品質であれば、本来とっても魅力的な要素なんですが・・・不幸なことに、外来文化であり、日本に定着する時に、不快な渋み、不快な酸味によって嫌われてしまったようです。そこから、紅茶は渋みの無いただの色つき砂糖湯だったり、最近では希少性のある紅茶やフレーバーばかりが突出した紅茶がもてはやされているようで、僕は全く惹かれません。コーヒーの酸・アシディティは、スペシャルティコーヒーの普及で広まっていきそうですから・・・ご機嫌です。

フランス料理イタリア料理ケーキ、音楽もクラシックロック結構なんでも通じるように思います、スポーツにも感じますね。僕は洋食化って云ってます・・・でも、洋食大好きで煉瓦亭もたいめい軒も満天星もファンですけどね。妙に日本向けに変えてしまったフレンチイタリアンその他に失望します。でも、日本のお客様に向けての料理、うちでしたらコーヒーですから・・・なんでも海外のそのままを良しとは思いません。日本のお客様に向けながら、その魅力の本質を損なってはいけない、そんなことが大切なんではないかと思ってます。

そんな理屈っぽいこと云ってると『当時の日本離れしていたというか』と15年も経ってから云われるんですね、とっても嬉しい評価だと受け止めていますが・・・。今は産地との関係作りがスタートして、数年前には夢だったクオリティの素材が手に入り、カッピングも焙煎も少しずつ進歩して・・・スペシャルティコーヒーのフレーバーの色々や甘さとアシディティの一体化した魅力など感じ取ってくれるお客様に恵まれて最高です。あらためて、ありがとうございます!!

(追伸)
達郎のファンクラブ会報に、すっと腑に落ちる話しがあったのでご紹介します。(実はうちのお客様には達郎マニアの方が何人もいます)『メロディーがグルーブを提示するのがロックン・ロールだから・・・「歌謡曲」という名前の音楽は、メロディーにグルーブを求めない・・・オケで後から無理にグルーブを付け足す・・・オケを変えるとグルーブが変わる・・・メロディーの構造自体にビートを内包している曲はギター1本でやってもフルオーケストラでやっても本質は変わらない・・・』この春まわった、ファンクラブ会員向けのアンプラグド・ライブ(ギター、ピアノ、ベースの3人でした)インタビューにでてきました。たった3人のアコースティックライブなのに・・・もの凄いグルーブ、ノリで、感動しました。

《ニコニコほのぼのワクワクな、
  《旬・瞬》珈琲をお届けしています♪》

2003年11月29日 坂本・ジングルベル♪・孝文

 

 
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