ブラジル・ケニア・シカゴ
今日11/15(土)は何にも予定が無かったので、のんびりCD聞きながら『コンクールでお会いしましょう』(中村紘子さん)を読んでました。彼女の『チャイコフスキー・コンクール』も楽しく読みましたが、15年前の本だそうで、あぁ!そんなに前に読んだのかと驚きました。
現在ピアノコンクールと呼ばれるものは世界で千あるいは数千あるそうで、コンクールというものが無名の才能ある若者にチャンスを与える場として認められる一方、どこか「芸術になじまない」感じがあるのも事実だと仰ってます。結果が記録として明確に示されるスポーツとは違って、その芸術の価値をどう決めるのか、その優劣はそもそも決められるのか?・・・才能豊かであるが未経験で未熟な若者達に目標を定める手助けをし、レパートリー拡張の機会を与え、演奏の場とチャンスを提供するという点でコンクール以上の場は見あたらないという現実的な結論・・・そのような疑問・問題提議から19世紀20世紀のピアニストへ話しは進み・・・21世紀へと突入していきます。
興味深く読み進みながら・・・ふと、《カップオブエクセレンス》が頭に浮かびました。そもそも《美味しさ》という個人的な感覚にコンペティションというものが馴染むのか?インターネットオークションによる価格高騰はどうなのか?美味しさに優劣を決められるのか?常に考えさせられます。
しかし、《カップオブエクセレンス》というプログラムによって、生産者に情報が開示され、行き渡り、農園主のモチベーションを高め、名誉と金銭的な報酬がもたらされ・・・優秀な農園の存在を世界中のハイクオリティコーヒーを求めているコーヒー会社・店に知らしめ・・・そのようなコーヒー会社・店を農園とつないだ、この現実はとっても大きな実りをもたらしたと実感しています。
今週もブラジル他からのサンプルをカッピングしました・・・それも、我々個人店グループは《カップオブエクセレンス》によってスペシャルティコーヒーを手に入れる道をみつけたからですが、わずか3年前には想像もできないことでした。また、先頃開催された《2003ブラジル・カップオブエクセレンス》は過去最高レベルのクオリティだったようです。しかも去年までで名をあげた農園の多くが決勝に残れず・・・新しい農園が目立ったようです。その結果を見ても、このプログラムのパワーを感じます。過去5回の積み重ねで・・・《カップオブエクセレンス》の信用が増し、そのミッションが広まり、モチベーションアップし・・・スペシャルティコーヒー生産のスキルが高まったのでしょう。まだまだ可能性がありそうです。(昔の豆は凄かった!とノスタルジックに嘆いていても何も変わらないと思ってます。COEという小さな楔が大きなパワーを発揮してきた事実を、これからのスペシャルティコーヒーにつなげたいと思いました。)
http://www.cupofexcellence.org/
先週の日曜日11/9に、ケニアからのお客様とお会いして色々と現地のお話しを伺いました。ケニアでは標高の高い産地は小規模生産者によって栽培されているようです。そして、そこで高品質な豆ができるわけですね。大農園は主に中低地にあって、収穫も豆をしごいているようです。小規模生産者は熟した豆を手摘みしているようです。そして、小規模生産者ならどこでも高品質なわけでは無いので、ケニアのオークションによって、カッピング結果の良いロットを確保することがトップトップクオリティのケニアを手に入れる方法なようです。ですが、残念ながらここ数年のコーヒー相場の低下によって、生産意欲が低下しているし、若者がコーヒーの仕事に興味を無くしているようです。来年の生産量も落ちそうです。今お届けしているさかもとこーひーのケニアは上の上・・・トップトップのクオリティですが、ケニアコーヒーのトップクオリティは全体の約10%位になるそうで、そのうちトップトップにはいるものは、トップのうちの10〜5%、よって、全体の1〜0.5%位しか出来ないとのことです。そのような素材を使えることに責任を感じますね。その魅力、ポテンシャルを最大に発揮させてみなさんにお届けすることが僕の仕事であるとあらためて考えさせられました。
また、11/13(木)にはシカゴにある創業8年のスペシャルティコーヒーロースター『インテリジェンシア』のGeoffさんが軽井沢の丸山珈琲を訪ねた帰りに待ち合わせて夕食を共にしました。彼は若いのですが、キャリアは十分にあって、スペシャルティコーヒーロースターとしての情熱と自信が伝わってきました。とっても楽しい食事でした。インドネシアに訪問した帰りに寄ってくれたようですが・・・常に産地を訪れて最高の素材を探していること、まずカッピングが基本で重要なこと、焙煎の話し、お客様に魅力を伝える話し・・・共通するテーマ等々彼の好物のお寿司を食べながらアッと云う間に2時間3時間が過ぎてしまいました。特に印象的だったのは・・・焙煎人にとって大切なことは「我慢強いこと」「集中力があること」そして「芸術的センスがあること」だそうです。彼の会社の焙煎担当にはミュージシャンが多いそうです。全体の把握と細部への注意に慣れているからとか。確かに焙煎には、1回の焙煎の約20分、或いはその日の焙煎全体の流れを把握しながら、一瞬一瞬の変化を逃さないことがとっても大切です。その上焙煎の段階毎に最終的な香りや味わいをイメージすることも必要ですね。油断するとどんどん焙煎が進行してしまいますからね・・・引き返すことも止めることもできません。彼が「焙煎は誰にでもできるわけでは無い」と云っていましたが、全く同感ですね。
そんなこんなで、明日11/16(日)はコーヒーの味方塾主催【スペシャルティ・コーヒーセミナー】です。
コーヒーへの情熱にあふれた方々が集まると思います。充実した一日にしたいと思ってます。
《ニコニコほのぼのワクワクな、
《旬・瞬》珈琲をお届けしています♪》
2003年11月15日 坂本・種からカップまで・孝文
|