プロのつぶやき

    週間コーヒーコラム204

格闘する職人

夏日が続いているものの、朝夕がすっかり涼しくなってきました。こうなると焙煎していてもとっても気持ち良くご機嫌な毎日です。毎朝の焙煎は集中力を要求されますから、職人としてはコンデション調整に気を使って当たり前です。約3時間前後の焙煎時間ですが・・・その間ずーっと集中しているわけではありません。リラックスしながら、ポイントポイントで一気に集中していきます。じゃないと、とても続かないですからね。

まぁ、僕の焙煎は昔から『坂本さんは、以外と緻密な焙煎しますよね?ガツ〜ンっとパワーで押し切ってるイメージなんだけど』って良く云われてまして・・・実は最初から緻密に記録を取って、余計なカンを使わないでも安定して焙煎できるようにしています。その分、必要なタイミングでは、目一杯カンを働かしてイメージとの勝負をしますけどね。そのお陰で、素材がどんどんレベルアップして、スペシャルティコーヒー専用のカッピングと焙煎が必要になり、そのスキルを作りあげるのもそれほど迷わないですみました。(もっとも、サンプルローストではカンだけで焙いていますけどね。きっちり焙きますが、とっても疲れますね)

有り難いことに、ここ数年のチャレンジが実を結んできてエチオピア・モカ、グアテマラ、ケニア、ブラジル・・・等々のメインに使っている素材がダイレクトインポートによって理想的なレベルになってきました。その上、今お届けしているコスタリカ・ラローサ、これからお目見えするカップオブエクセレンス・ニカラグア、エルサルバドル等のオークションものが夢見るようなクオリティ・魅力を秘めています。

このような素材を手にしての大きなハードル・課題は・・・素材の持つ魅力・可能性をどこまでイメージできるか、そしてそれを表現できるかになっています。どの素材もクリアーでスィートですから、よほど失敗しないかぎり美味しいと感じます。しかし、その美味しさが最高にその豆の良さを引き出しているかどうかは・・・難しいですよね。カッピングとロースティングの技術のレベルが高くないと、折角のスペシャルティコーヒーも『スペシャルティ・スペシャルティって云っても、たしかに少し綺麗だけど、コクが弱いし、どうってことないね』そんな感想になるようです。

スペシャルティコーヒー専用の焙煎の基本が今まで自家焙煎業界でひろまってきたものと多少違っているんです。その焙煎を判断するのは、カッピングですから・・・焙煎とカッピングは二人三脚ですね、どちらかのレベルが低かったら、低いほうに転けてしまいますね。

例えば、焙煎初期にカロリーオーバーすると豆の表面が焼けてしまいます。この表面焼けは香りや爽やかさを阻害しますが、深煎りにするとその表面から焦げて嫌なざらつく焦げ味が出てきます、非常に不快な苦みですね。こうなると折角の素晴らしい素材が、後味の悪い重くきつい苦みになってしまいます。甘さが心地よい爽やかな余韻なんて無理ですね。では、中煎りならばOKかというと特にマウスフィール、スィートの魅力が出てきません。こちらのほうが微妙ですから厄介です、素材の可能性を発揮できていないのにOK出してしまいがちです。香り、スィートさ、マウスフィールの心地よさがもうひとつだなぁ〜とカッピングで判断できても、焙煎工程ドライ・ディスティレーションの問題だと勘違いすると・・・焙煎が迷走してしまいます。ちょっと専門的すぎますね、すみません。

素材のクオリティ、焙煎・カッピングのスキル、イメージ力・・・そんなハードルをひとつ越えると、次ぎのハードルが目の前に現れて・・・また越える、そんなこの一年二年でした。でも、お陰様で、それらの全ての基本はなんとかクリアーできてきたようです。微妙な微妙な違いを追いかけて、表現する、そんな楽しさに浸る毎日になりそうです。この秋は凄すぎるコーヒーが怒濤のがぶり寄りでやってきます。さかもとこーひーのワクワクする魅力を存分にお楽しみくださいね。ご期待ください。

《ニコニコほのぼのワクワクな、
  《旬・瞬》珈琲をお届けしています♪》

2003年9月20日 坂本・ロースティング・孝文

 

 
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