週間コーヒーコラム19

ブレンド マジック アゲイン

 開店して暫らくはテイスティングの毎日でした。その日に焙煎したコーヒーをハンドピックするとすぐに全種類味見をしました。焙煎の状況、ハンドピックの具合とはっきり記憶のある内にコーヒーを淹れてコメントを記録しました。

まず、香りを嗅ぎます。目をつぶって神経を集中します。
分りやすい香りから順に言葉に置き換えて記録します。
1度に何種類もの香りまでは分らないので一息いれて鼻をリフレッシュ(自分の服の臭いを嗅いだりして嗅覚の回復をしたりします)して再度香りを確かめます。
コーヒーが少し冷めたところで味をみます。
濃度、苦味、酸味、を基本としてえぐみ、渋みなどネガティブな味もチェックします。
息を鼻から抜いての香りも確認します。
最後にぐっと飲んでお客様が気軽に飲んだ時の印象も想像します。

 この繰り返しでひとつひとつの味や香りを舌先だけでなく身体で覚えます。そうしながら、順番にブレンド練習を進めました。

 自店のストレートコーヒーを使ってブレンドを作って行く訳ですので昔から業界で言われているブレンドの割合は参考になりません。ブラジル、コロンビア、モカなど同じ名前でもグレードや細かい産地、収穫年度、焙煎度合いなど違いますから何と何をこの割合でブレンドすると良いなどと言うセオリーは気にしませんでした。
その頃のノートを見ると日付け、ブレンド割合、コメント、星印(ランク付け)と記入して1番から順に200番まであります。

最初は1対1の割合で相性をみます。美味しいコーヒーと美味しいコーヒーが相性で美味しくも不味くもなります。
次に7対3、6対4などと比率を変えてます。3種類の場合は5対2、5対2,5、6対2対2、などと柱になる豆を決めてブレンドしてます。

 そんな毎日を1年2年と過ごしていると不思議と相性が分ってきて最近はなんとなく浮かんだブレンドを試して、良ければ2回3回の試作で出来ます。だめだと1回で止めます。だめなのはすぐ分ります。完成するとコーヒーメーカーで淹れてみます。コーヒーメーカーでも意図した味わいが出ているか、極端な味の違いが無いか確認します。ブレンドでもストレートでも新しいコーヒーは誰の為に作っているか、どんな味わいを好きな方にお勧めするかというイメージを一番大切にしています。

 以前に喫茶店のご主人を紹介いただいた時に困ったのは「一番美味しいブレンドを持ってきて欲しい」 「みんなが美味しいブレンドが欲しい」と云われる事が何度かありました。当店ではお客様ひとりひとりにとってのお気に入りを見つけて欲しいのでそんな単純に(押し付けで)美味しいとは云えません。(今は卸は原則としてお断りしてます)

ブレンドのお話しが上手くまとまりませんでした。また改めて機会をつくります。どうもすみません!

 
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さかもとこーひー