プロのつぶやき

    週間コーヒーコラム189

2003・ブラジル農園研修の旅

『MORELENBAUM/SAKAMOTO:CASA』というCDを、今聞きながら何から書いていこうか考えています。
旅も終わりに近づいてきた晩、夕食後くつろぎながら・・・その日のホストの方がかけてくれたアルバムです。「SAKAMOTOはグレートコンポーザーだね」「ポルトガル語もパーフェクトだよ」なんて云いながら、連日続くハードな旅の疲れを癒してくれました。ブラジルの女性ボーカルとチェロ、ピアノだけのシンプルな構成ですが・・・帰国後ず〜〜っと聞き入っています。その時仰っていた言葉がとっても印象的でした。「ビジネスは確かに大切だけれども・・・人生はそれだけじゃない。そして、コーヒーは忙しかったり、大変だったり・・・色々な時に、ホッとしたひとときを与えてくれる、そんな飲み物だから・・・我々はコーヒーに関わるものとして・・・そんな時間を大切にしなくては・・・」英語でしたし・・・お酒を飲みながらでしたし・・・メモしていたわけでは無いので・・・多分、そんなお話しだったと思います。今回の旅は、ある意味、迎えてくれる農園の方々にとって、ビジネスの一面もあるわけですが(僕は、割と好奇心優先でビジネスなんて感覚は希薄なんですけどね)・・・それはそれとして・・・人と人との関係の深まりの大切さが身にしみてきました。

さて、レポートすることがたくさんあるんですが、何からお話ししましょうか?今回の旅はタイプの違うコーヒー産地をまわってきました。そんなわけで、毎日移動につぐ移動・・・同じホテルに泊まったのが、たった2泊しかない・・・近い移動で、山道をマイクロバスで飛ばしに飛ばして3時間、ちょっと離れていると5時間6時間走りっぱなしでした。そんな日程で訪れた地区は・・・大きく云うと《エスプリット・サント》《マタ・デ・ミナス》《ミナス・ジェライス》《モジアナ》です。もう少し細かく云うと《ベンダ・デ・ノーバ・デ・イミグランデ》《マニュアス》《サンアントニオ・デ・アンパーロ》《クリスティーナ》《アルフェナス》《ポソス・デ・カルダス》といった地区です。

これらは、山岳地帯だったり、高原だったり・・・土壌、標高、品種、マイクロクライメイト等々様々な要素の違いを見たかったのですが、とっても比較しやすくて良かったですね。そして、精製もナチュラル、パルプトナチュラル、ウオッシュドとじっくりそれぞれの良さ可能性課題を学んできました。で、まずは、その産地を肌で感じたことからお話ししましょうか。

ニューヨークからの飛行機がブラジル上空に来た時は、朝方でした。日が昇ってきて明るくなって、下を見ると・・・雲が切れてきて山々がくっきりと浮かび上がってきました。でも、あれっ?谷間が見えない。なんだ、曇っているのか?おかしいな?・・・もしかして霧?でもそれにしては、濃いな!霧って感じじゃないよな。しかし、あれは霧だろう。う〜〜〜ん。

自宅を出てから、まる二日かかって最初の宿にたどり着きました。なんかどこまで登っていくのかな〜、っていう山の中です。もう暗くなっていたので、はっきりは様子が分からなかったのですが、古いいい感じのホテルでした。汗を流して、食堂へ・・・今度の旅を案内してくれるエドガーさん、最初の地域を案内してくれるブラジル・ナショナル審査員のヴィエイラさんと我々で、僕は少し緊張しつつ、食事をしました。いよいよ明日から農園めぐりがスタートだ!とベッドに入り・・・気が付くと、うぅぅ〜〜、さむい!なんだか、ずいぶんと冷え込んでるな。この寒さはなんなんだ。ちょっと早いけど、まぁ、いいか、起きるか。みんなはまだ寝てるだろうな。そんなこんなで、窓を開けると・・・真っ白・・・外が見えない・・・寒い、冷たい。霧霧・・・朝霧がすごいんです。

外に出てみると、ホテルは山頂にあって・・・日が昇ってきそうです。どんどん雲の色が変わり、煌めき・・・あっと云う間に朝日が顔をだしてきました。この美しさが最初の感動でした。
この朝晩の冷え込みは毎日身にしみました。セーター無しではきつい寒さです。そしてお昼近くになると、Tシャツ1枚で、強い陽射しをあびます。帰ってきて鏡を見ると・・・もう何年も見たことが無い、黒く日焼けした自分の顔に驚きました。夏休み明けの小学生です。

農園によって、サンドライするパティオが山頂にあったり、谷間にあったりするんですが・・・そこに吹いている風が、また印象的なんです。乾燥した爽やかな風が、す〜っと吹き抜けていくんです。心地いいんですよ。特にサマンバイア農園のパティオは見晴らしの良い頂きにあって、眺めも風も最高でしたね。

霧・・・冷え込み・・・陽射し・・・風・・・と感じました。そうそう、森、自然林も大切ですね。BSCAの認定基準の中には、農園に占める自然林の割合が義務づけられています。ちょっと詳しい%は忘れてしまいましたが・・・どこの農園に行っても、自然林の大切さを強調していました。バードコンシャスと云っていましたが、鳥がたくさんいて、水資源を大切にして・・・環境のバランスに配慮することを強調していましたね。
農園を見渡すと、森に囲まれてコーヒーが植えられているのが一目でしたね。特にアグア・リンパ農園は、森の中にコーヒーが点在している感じなほどでした。

あとは、木の香り、パティオで乾燥中の香り、青実・未完熟実・完熟実・過熟実の香り、味・甘み等々・・・五感で感じることが、実際に産地を訪れる目的のひとつだったのです。う〜ん、今日はこんなところですか・・・優秀な農園でも、ハイクオリティのスペシャルティコーヒーが出来る%はそれほど高くないそうです。丁寧に丁寧に、クラフトとして作られているスペシャルティコーヒーのレポートをすこしずつしていきますね。お楽しみに♪

では、また、来週。

《ニコニコほのぼのワクワクな、
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2003年6月8日 坂本・ブラジルの旅・孝文

 

 
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