週間コーヒーコラム15

続ブレンドマジック

 ブレンドの前にストレートコーヒーの味作りについてもう少し説明します。
ご存知のように、当店のコーヒーは浅煎り、中煎り、深煎りと3段階に大きく分けています。
それぞれの煎り具合により苦味、酸味がはっきり違います。
開店以来新しい豆を積極的に取り入れてきました。
 ストレートコーヒーは個性が分りやすいようにその3段階にあてはめて焙煎度合いを決めてメニューの大きな柱となるよう位置付けています。
 そこで、「ブレンド」の登場です。
ブレンドは2種類以上の豆を混ぜることによりストレートには無い個性をつくっています。
原則として、多くの豆を混ぜれば混ぜるほど元の豆の個性が弱まります。また、当店ではお客様が1杯で抽出することを考えて2種類か3種類の豆でブレンドを作っています。
 まとめて粉に挽く場合や、昔の喫茶店のように10杯、20杯とまとめて淹れる場合は4種、5種類とブレンドしても安定した味になりますが、家庭で豆を小人数分挽いて淹れるといつも同じブレンド割合にはならないと思います。そして、業務用のブレンドは「まとまりのある味」「好き嫌いの無い味」を指向しているようです。それを「完成した味」と表現することもあります。
 勿論、コストの問題は大きく、ブレンドによって価格を抑えて(安い豆を上手く使い)それなりに良い味をつくることがブレンドの技術の一面でもあります。
 そこで当店の「ブレンド」です。
まず、ブレンド用の安価な豆は仕入れません。どの生豆も自分で納得できるプレミアム物です。そして、その個性を活かしたストレートコーヒーを使ってブレンドしています。
お店によっては良い豆だけでは無く、没個性的な或は少し品質の劣る豆を上手に使ってこそブレンドの妙味が有ると言う話しも聞きます。確かにそう云うこともあるかもしれませんが、今有るストレートを使ったほうが豆の鮮度にも良いですし、結果として個性的なブレンドが多くできれば良いと思ってます。
 ブレンドには2、3種類の豆を使い、ストレートコーヒーには無い「個性」を求めています。バランスの良さという意味では「まとまり」を考えますが、個性的な豆どうしをブレンドして新しい個性的な味になるよう心がけています。
開店した頃はお客様のお好みが分らないので、ストレートコーヒーの個性を弱めたタイプのブレンドを作りました。そして、香り味を弱めて価格も下げました。しかし、そのようなブレンドはあまり人気がありませんでした。
お客様のお好みが感じとれるようになってからは、新しいブレンドを試作することがとても楽しい作業になっています。

次回はブレンドを作る過程のお話です。

 
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