カップオブエクセレンスの落とし穴
明日15日は、早起きして博多へビュ〜〜ンとひとっ飛びです。もう1年半も続けている全国の仲間とのカッピング勉強会です。そして、【2002グアテマラ・カップオブエクセレンス】5位『ウイツ・マティグ』23位『ラ・プロビデンシア』ももうじきスタートです、楽しみですね〜。
そんな2002年の初秋、最近はつくづくと、スペシャルティコーヒーの、そしてカップオブエクセレンスの、難しさを感じてます。それは、カッピングスキルの向上とともに強く感じています。スペシャルティ以前、良いと思った素材が翌年、急に悪くなったり、気に入った生豆が見つからなかったり・・・そんな頃は、世界のトップクオリティと云われる生豆は一体どんな可能性を持っているんだろう?ドイツや北欧に行ってしまうと云われる素材は、そんなに違うんだろうか?どうやったら、我々はそのまだ見ぬクオリティを使えるんだろうか?・・・そんな素晴らしい素材を焙煎したら、どんなに魅力的なコーヒーになるんだろう!もっと簡単に美味しいコーヒーが焙けるんだろうか?あぁ!使いたいなぁ〜〜!・・・このまま、このレベルで終わってしまうんだろうか?そんなことを仲間と話したり、お互い良いと思った素材を紹介しあったりしてました。日本に入っていた素材を使って、出来るかぎりの美味しさを追求していたんですが・・・どこか、納得がいかない、もやもやしたものが渦巻いていました。
そんななか、ITC国連コーヒーと出会い、全国の仲間とメールで知り合い、勉強会をスタート、マイアミSCAA大会、2001グアテマラ・カップオブエクセレンス・ダニランディアのゲット・・・・そして1年、現在に至っています。そんなスペシャルティコーヒーの凄い素材に出会った頃は、本当に素直に驚き喜んでいました。
兎に角、汚れの無い綺麗な味わい、華やかなフレーバー、心地よい余韻・・・苦労していた素材とは明らかに違うレベルを手にしたんですから・・・。それに連れて、あちこちから、スペシャルティな素材のサンプルが集まってきて、どんどん経験を重ねられました。同時進行で、カッピングのトレーニングを重ね、焙煎を向上させてきました。
そうなると・・・徐々に難しさに直面するようになったんです。
透明なクリーンカップ、魅力的なフレーバー、爽やかなアシディティ、余韻とともに続くスィートネス、心地よいマウスフィールボディ、フィニッシュ、バランス、オーバーオール。それらの、ひとつひとつ、そして全体の印象の違いがクリアーに捉えられるようになるに連れて、素材の微妙な違い、焙煎の影響による違いが明らかになってきました。
例えば・・・釜に豆を入れると、温度が下がってきます・・・そして下がりきった温度を何℃にコントロールするのが最適か?何℃から影響がでるか?・・・それはどういった影響か?
焙煎初期の水分抜きの温度上昇スピードはどういったペースが最適か?同じペースでも、あるポイントでのガス圧が高いと、どういった影響がでるか?
ロースティング工程での最適なペースは?ロースティングポイントは?
それらを検証していくと、カッピングで徐々に明らかになってきました。
ん?もっと具体的に云うと・・・豆の表面が焦げているのは、プロなら分かりやすいと思います。しかし、焦げとは分からない程度の微かな焦げ・・・これが、豊かなフレーバーや心地よいボディ、スィートネス、爽やかさ滑らかさ等の魅力を半減するんです。これをカッピングで分からないと、素材が良いので雑味が無いだけに見過ごしてしまいます。そうなると、その凄い可能性は発揮できません。
同様に、水分抜きの僅かな甘さも影響大です。ロースティング工程のカロリーオーバーや不足、ロースティングポイントのズレ・・・ぜん〜〜〜ぶ、マイナスです。素材が良くなって、綺麗な味わいになり、何となく飲みやすい、美味しい・・・これが『大きな落とし穴』です。
余談ですが、自家焙煎の先輩に良く聞いた話しでは・・・焙煎の技術は、どうやって嫌な味、成分を抜くか?それがコツだ!・・・抽出も嫌な味わいを出さない・・・そんな話しが多かったようです。如何に飲みやすくするか?ですかね?(それに、味の汚れをコクと勘違いする、基本的なミスを随分多く見ました。素材による汚れた滑らかさに欠けるいがらっぽい味わい、雑味は焙煎では修正できないですね。どんなに上手に焙いても、はっきりわかります。)
ふぅ〜〜〜。ややこしい話しになってきましたね?すみません。話しを戻して・・・1年前の焙煎は、スペシャルティな可能性を出し切ってはいなかった???んじゃないのか、ってことです。
でも、安心してくださいね・・・勿論、それまでのコーヒーに比べて、圧倒的な魅力であったのは間違い無いことです。・・・が、今ならもっと可能性を表現できる!そんな思いです。
と、云うのも、スペシャルティコーヒー、そしてそのスペシャルティの頂点とも云える【カップオブエクセレンス】の素材は、他のコーヒーが少し綺麗になったり甘くなったりしたものでは無いんですね。そういった捉え方としていると、スペシャルティコーヒーの魅力を掴まえられないし・・・当然、表現もできません。
せっかく、素晴らしい素材を手にしても・・・なんか、それほど云うほど大したこと無いじゃないか!そんな声も聞こえてきています。また、上手に焙煎できない、そんな相談もきています。嫌な味を出さない、そういった焙煎の考え方では、印象的な魅力に焙けないと思います。
どうやら、大きなターニングポイントにきているようです。今年の秋は、日本中にカップオブエクセレンスの素材がたくさん上陸しますね。それらをどこまで魅力的にしてあげられるか?自家焙煎店にとって、こんなにドキドキする時は今まで無かったですよね。30年弱コーヒーに接してきて、一番エキサイティングな秋になりそうですね。さぁ、『ウイツ・マティグ』と『ラ・プロビデンシア』の【グアテマラ・カップオブエクセレンス】が来たら、思いっきり正面からガチンコでぶつかっていきます。この1年間の成果を発表するような、試されるような、気分になりますね。喜びも楽しみも不安もプレッシャーも・・・み〜〜んなあります。
そうそう、先ほどの『大きな落とし穴』にはまらないようにするには・・・『素材』と『焙煎』を判断する『カッピング』が不可欠ですよね。その為の、明日からのカッピング勉強会、博多行きです。
では、また、来週。
《ニコニコほのぼのワクワクな、
《旬・瞬》珈琲をお届けしています♪》
2002年9月14日 坂本・ガチンコ・孝文 |