プロのつぶやき

    週間コーヒーコラム141

サンプルロースター

2002年アメリカ珈琲の旅(5)ローストセミナー

 はい、先週は香りのセミナー「Le Nez du Cafe」のお話しでした。 フレーバーのトレーニングをして、カッピング能力を向上させる為のセミナーですね。

 そして、今日は、「ローストセミナー」を受けます。 要するに、アナハイムに行って、ブースで《素材》を学び、セミナーで《カッピング》《焙煎》を学ぶんですね。

 《素材》を手に入れて、《焙煎》して、《カッピング》で検証し、味作りをする・・・基本ですよね。

 どんなセミナーだったかと云うと、プロバット社(ドイツの有名な焙煎機メーカーです)の技術者の方が講師になって、プロバットの焙煎機の構造や特徴を説明してくれました。

 技術者の方なんで、話しが地味で、言葉のハンデがある僕にはちょっと理解がついていかないところがありました。 日本で行われたプロバット社のセミナーに参加していたので、だいたいの基本的な内容は理解できました。

 そんな中・・・頭の中は・・・《素材》《焙煎》《カッピング》がグルグルと高速回転していました。

 そうそう、今日の「棚から鷲つかみ」でも触れましたが・・・今週、だいぶ前に注文していたサンプルロースターが着いたんです。

 網のドラムがモーターで回転して・・・下から火で焙く・・・たったそれだけの単純・簡単なものです。 だから・・・火加減と時間でコントロールするだけですね。 排気も温度計もありません。

 実は、仲間とのカッピング勉強会では、このシンプルなサンプルロースターで、焙煎し、カッピングしているんです。 もう、1年以上続いていますが、これで充分な味・香りが焙けるんですね。 いやいや・・・充分どころか、半年くらいたってからは・・・素晴らしい焙煎で、見事にフローラルやワイニーが表現できるんです。(勿論、そのようなフレーバーを持っている素材で、きちんと理に適った焙煎になっているからですけど・・・。)

 そんな経験を繰り返すうちに・・・自分がしている焙煎は、一体どうなんだ? 確かに・・・以前より素材のクオリティが上がっているので・・・同じように焙煎しても、はっきりと魅力的な味わいやフレーバーになります。

 しかし・・・それで、その素材を活かしきっているのかどうか? 大きな疑問が押し迫ってきました。

 そこから、排気ダンパーの開け具合・・・焙煎過程《前・中・後半》でのカロリーの与え具合・・・主にこの二つの検証に入りました。

 僕は、手網焙煎していた頃から、今の焙煎機でスタートしてからも、ず〜〜〜〜っと、毎回記録を取っているので、どこをどう変えたから、味わいフレーバーがどう変わったか? 検証しやすい焙煎になっているんです。

 サンプルロースターでの焙煎を、自分の焙煎機に落とし込んで、少しずつ検証していきました。

 幸運なことに・・・そこには、カップオブエクセレンスなどの、素晴らしい素材があったんです。 そうすると、可能性がどこまでひろがるか分からない素晴らしい素材ですから、ほんの少しのカロリーの与え方の違い、ロースティングポイントの違いで、見事に応えてくれたんです。 こうやって、素材に教わりながら(勿論これからも続くのでしょうが・・・。) この半年、1年で、大きな壁を破ることができたようです。

 どう応えてくれるかと云うと・・・パッと味わいが明るく輝くと云えるんですけど・・・甘さスィートネス、ボディや余韻の心地よさ、フレーバーの鮮やかさが違ってくるんです。 そうでない焙煎は・・・わずかに、焦げとは云えない位の微妙な焦げが、甘さやフレーバー、奥行きのあるボディをマイナスしているんです。 あとは、カロリーが足らないと、味わいもフレーバーも薄く物足り無いものになってしまいます。

 そうはいっても、決してその焙煎が酷いレベルの話しでは無くて、数年前の僕のレベルでは、充分OKな焙煎との比較です・・・ややこしい話しが続いてます(へへ) えっ?もっと具体的に云え?・・・はいはい、例えば・・・

  • 釜に投入して、温度が下がりきります・・・これを中点と云ってます。
  • この中点が・・・102℃105℃108℃で、どう違うか?
  • 102℃は、105℃の時よりも進行が遅れるので、その分カロリーを多く与えたら、どう影響するか?
  • その後、120℃130℃140℃で、それぞれカロリーの与え方を変えると、どう影響するか?

 そんな風に、徐々に徐々に検証していきます。 それは、カッピング能力が上がらないと分からないんですね。 そんなふうに、魅力がパァ〜〜〜っと輝くかどうかの微妙な検証を楽しんでいます。

 あぁ、どんどん細かい話しになりそうなので、どうもすみません、またまた、ややこしい話しになってますね?

 で、え〜〜〜と、云いたいことは、こんな面倒な焙煎の検証を出来るのも、それに応えてくれる、素材があるからなんです。

 僕が以前使っていた素材ですと・・・勿論、多少は美味しくなるでしょうが・・・手間ほどには、フレーバーや味わいの魅力が発揮されるか? どうか? 疑問です。 そんな魅力的なデリケートなフレーバーや味わいが、もともと無い素材ですからね。

 う〜〜〜ん、逆に云うと、カップオブエクセレンスに代表されるような、トップスペシャルティの素材は、それを活かすには、それにあった焙煎や経験、カッピング能力を要求するってことです。

 ほんと! 感じてます。『グアテマラ・ダニランディア』『グアテマラ・ローレル』『ブラジル・サマンバイア』『ブラジル・カポエリーニャ』の、カップオブエクセレンスの素晴らしい素材を、今焙き直してみたい。 もう、どうにもならないことですが・・・とっても強く思います。

 そ・し・て、『2002・グアテマラ・カップオブエクセレンス』の【Huitz Matig (ウイツ・マティグ】と【La Providencia(ラ・プロビデンシア)】が、来ます。 その他にも、色々なルートで、まだまだ素晴らしい素材が手にはいりそうです。

 さぁ〜〜〜、どうしましょう? ドキドキしてます。 まだまだ、トレーニング中の焙煎人としては、《ゴーフォーブロック》の精神で、チャレンジするしか無いですね?

【Huitz Matig (ウイツ・マティグ】は、カップオブエクセレンス5位の豆ですから、全力でぶつかって、その魅力を感じ取り、引き出したいと思います。(9月頃には、お届けできるかと、思います、はい。)          

 では、また、来週♪
 

《ニコニコほのぼのワクワクな、
  《旬・瞬》珈琲をお届けしています♪》

 

2002年6月29日 坂本・サンプルロースター・孝文

 
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