プロのつぶやき

    週間コーヒーコラム133

いしがき

カポエリーニャの焙煎

 毎朝、6時過ぎに仕事を始めます。 電気を点けて、エプロン着けて、焙煎表を用意して、換気扇を回します。 同じ時間に、同じ手順で、進みます。

 そして、紅茶を飲みながら・・・だんだん目が覚めてきます。 冬は寒いですよ〜〜〜〜、おっと、千葉の寒さなんて、なんてことないか? では、焙煎しましょうか♪ カポエリーニャでしたね? 火を点けて、釜を暖めます、これも毎回、同じペースで、同じように予熱します。

 その間に、豆を計ります、今日は3キロ焙きましょうか? 普段、他の豆は、ほとんど5キロで焙いてます。 そうそう、焙煎機はフジローヤル5キロ直火、もうすぐ9年、使ってますね。 改造はしてません。

 その間に、ストレッチもしてます。 まず、足やアキレス腱をゆっくり伸ばして、次は、タオルを使って、背中から、肩から順番にね♪ さらに、スクワットも時々してます、集中力やコンデションが大切です。(年も気になってきました♪)

 そんなこんな、していると・・・ビ〜〜〜〜〜! おっと、ブザーが鳴りましたね、釜が暖まったようです。 20分弱予熱してますね。 投入温度と火力を決めます、最初のこの設定を大切にしています。 決して、同じ温度や火力にするわけでは無くて、豆を投入後、約2分半頃、下がりきった時の温度が一定になるように調整します。

 従って、その日の何釜目か? 直前の焙煎は何を何キロ焙いたか? 気温は?・・・等々の条件によって、少しずつ変わってきます。

 そして、その下がりきる温度を、何度にするか? それを大切にしています。

 はい、今度は、徐々に温度が、上がっていきますね。 まずは、水分を均一に抜かないといけません。 コーヒーは丸いので、芯から均一に焙けるように、水分を抜こうと考えてます。 ここの温度上昇のペースにも気を使っています。 早くても、遅くても、はっきりと味、フレーバー、に影響します。

 その為に、焙煎表に10℃毎に時間を計って、狙ったペースを維持するように調整してます。 温度が、120、130、140、150と上がっていきます。 豆は少しずつ少しずつ暖まっていきます、決して急いではいけません。 歯でかむと、グニャッとなるくらいに柔らかくなってきてます。 湯気や臭いもでてきますよ! 最初は生っぽい臭いですね。 サンプルスプーンを鼻に近づけて、水分の抜け具合や、焙け具合を注意してます。

 もうカポエリーニャは慣れてますから・・・そんなに気を使わなくても、ピッタリのペースで進行していきますね。 火力の調整も頻繁にすることはありません。 第1回目のテストローストですと、豆によって必要とする、或いは、最適なカロリーが多少違いますので、探りながら、調整します。(水分抜きの段階で、誤差は、5分につき、プラスマイナス0.2分以内にコントロールしています)

 それをカッピングして、2回目の焙煎に活かします。

 豆が徐々に膨らんできます、色も薄〜い茶色、ストロー色になってきます。 そろそろ、水分抜き行程が終了ですね。 焙煎・ローストは乾熱調理と云うのが、僕の基本的な考えですから・・・乾熱調理は180℃前後での調理ですので、170、180℃になると、いよいよ、焙煎による、コーヒーの魅力が生まれる過程です。 様々な香りや味わい、刻々と変化していきます。 そのロースト・焙煎の段階までに、水分抜きの準備段階をきちんと終えようと思っています。 カラメル、メラノイジン、ディープフライフレーバー・・・乾熱調理による、魅力が生まれてきます。 そして、スペシャルティコーヒーは、《コーヒーはフルーツである》という事実をその魅力によって、教えてくれます。 フルーティ、フローラル、アシディティ、スィートネス・・・。

 色が濃くなってきましたね! 香ばしい香りが出てきます。 サンプルスプーンを鼻に近づけると、その豆の良さが香りにでてきます。 フルーティさが分かりやすいですね、爆ぜて、煎りが進むと、カラメル化したフレーバーが強くなり、その奥にスパイシーがあったり、チョコレートがあったり、様々なニュアンスが見え隠れします。

 ここで、どの位、カロリーを与えるか? これもとても大きなポイントですね。 カロリーオーバーならば、焦げてしまいますし、不足したら、香りも味も生まれません。

 おっと、パチパチ、爆ぜてきました。 煙も香りも出てきます。 いよいよ煎り止めが近づいてきます。 ここは、一瞬一瞬、どんどん変化していきます。 豆も大きく膨らみ、しわが伸びてきます。

 豆によって、2回目の爆ぜの後まで焙いたり、直前で出したり、ロースティングポイントを決めます。

 カポエリーニャは2爆ぜに入ってすぐです。 微妙なタイミングですね。

 わずか、1℃違っただけでも、フレーバーの魅力に影響したり、アシディティやボディ、スィートネスも変化してきます。 爽やかな魅力が、急に現れたり、ぼやけた印象になったり、気をゆるせません。 そして、深煎りになると・・・どこまで、熱に耐えられるか? 豆によって全く違います。 ギリギリのロースティングポイントとそこから1℃オーバーしたロースティングポイントで、並べてカッピングすると、とても良くわかります。 産地の標高、内陸性気候なのか、海洋性気候なのか? それによる、気温の日較差・年較差等によって、豆・繊維の性質が違い、どの位の深煎りにできるか? 影響します、勿論、降雨量や土壌もですね。

 それに、熟度も加わって、アシディティやスィートネス、フレーバー・・・勿論、精選工程にも影響受けますね。

 おっと、話しを戻して・・・ただし、ギリギリまで焙いたからといって、その素材の魅力が発揮されるとは、かぎりませんね。

 そんなことに注意しながら、毎日毎朝焙煎しています。

 さぁ、カポエリーニャの煎り止めです。 豆の色も艶も形も香りも煙も見てますが、最終的な判断は、カッピングして、決めてます。 そのロースティングポイントで煎り止めるため、温度を一番重要視しています。 例えば、220℃とすると、220℃になった瞬間と221℃になる直前では、違いがでる時があるので、油断できません。 ザァ〜っと釜から出します、そのまま冷まします。

 ここからが、さっきから話題に出ている、カッピングですね。

 焙煎して、カッピングして・・・その結果を次の焙煎にいかします。 さぁ、カポエリーニャはどうでしょうか? 最初はギリギリまで、深く焙いてみました・・・結果は、クリーンカップなんですが、単調で、魅力が生きていないようです。 し・か・し、では? カポエリーニャの魅力はどこにあるんでしょう? 緊張してきます! 集中して、頭・脳味噌に汗いっぱいかいて、イメージします。

 2爆ぜ前後も試してみます・・・う〜〜〜ん、デリケートな良さが見えてきました。 フレーバーもアシディティもスィートネスも、クリーンカップも、良いのですが、《カップオブエクセレンス》のドキドキするような、魅力まではいきません。

 まだまだ、活かしきっていないようです!

 ロースティングポイントを探っていきます。

 ほぉ〜〜〜〜♪ 爽やかなフレーバー、スィートネス、ボディ、フィニッシュ・・・これだこれだ! こうこなくっちゃね! う〜〜〜〜〜ん♪ やっぱり、カップオブエクセレンスだ。 このロースティングポイントを掴まえないで・・・カポエリーニャの魅力を決めつけていたら・・・・おぉ恐い! ドキドキもんです。 ほんと、素材に試されている感覚で、緊張しますね・・・でも、これで、本当にOKなんだろうか? まだまだ心配ですよ。 最近は、こんなことが頻繁なので・・・楽しいやら、恐いやら、バクバクする毎日です。

 そんなわけで、カッピング能力が向上しないと、焙煎も向上しようがないんですね。 最後に判断するのが・・・自分の舌ですからね。 焙煎して、記録を取って、カッピングして・・・そこからイメージして、仮説して・・・それを活かした焙煎・・・その繰り返しです。

 ふぅ〜〜〜、では、もっともっと、素晴らしい素材との出会いを求めて、せいぜい精進していきます。 応援をよろしくお願いします。

 そうそう、カポエリーニャ農園は販売していませんので、ご了承ください。
 

《ニコニコほのぼのワクワクな、
  《旬・瞬》珈琲をお届けしています♪》

 

2002年4月19日 坂本・もうすぐアナハイム・孝文

 
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