プロのつぶやき

    週間コーヒーコラム129

ひまわりの油絵

技術とイマジネーションの追いかけっこ

 19で味の仕事に入り、この春で、満27年になります。 そんな・・・思えば、気が遠くなって、もう思い出すことも出来なくなってしまったことも増えてしまいました。 愕然とすることもありますが、今はスペシャルティな素材に出会い、素晴らしい仲間も増えて、良いお客様にも恵まれて、快適な状況になりました。 若い仲間と話していると・・・20代30代・・・あぁ、僕はすでに彼らよりも、10年20年という膨大な時間を費やしてしまったんだ! と気がつき、気を失ってしまいます。 だからと云って、僕の27年間は充実していましたから、後悔もしていないし、満足していますが・・・・♪

 そんな? どんな?・・・若い頃からの大切にしている言葉のひとつに、『技術は教えられても、感覚は教えられない』というのがあります。 そして、『技術とイマジネーションの追いかけっこ』というのもあります。

 イマジネーションは無限に広がる可能性を持っていますが、なかなか厄介で、自分のイマジネーションの貧困さに、哀しくなることがあります。 自分に無いセンスを持った人をみると、単純に羨ましくなります・・・そんな時に『技術とイマジネーションの追いかけっこ』に出会いました。

 「イマジネーション」が湧くと、それを実現するのに必要な「技術」がみえてきます。 逆に、ある「技術」が出来上がると、それによって新しい可能性がでてきて、新しい「イマジネーション」が湧いてきます。 当然のことながら、「素材」も関連しています。

 素晴らしい「素材」に出会うと、それを活かす為の「技術」が求められ、「イマジネーション」が試されます。

(スポーツでも音楽その他み〜んなそうですよね? イメージした音をだす楽器が必要で・・・良い楽器に出会うと、新しいイメージが湧いてきて、その為の技術を獲得するために、練習を繰り返し・・・技術によって、また新しいイメージが湧いてくる・・・繰り返しですね♪)

 そんなことが、『2001カップオブエクセレンス・サマンバイア農園』と、毎日接していて、浮かんできました。 僕は毎日毎日焙煎して、カッピングして、普通にも飲んで、またまた、たくさん教えられました。 世界のトップクオリティの素材は、焙煎人の能力を本当に求めてきますし、いろんな魅力、表情を発揮して、さぁ! どうだ? と云われているような気持ちになりました。 幅もあるし、奥も深いですね〜〜〜〜♪

 普通に焙煎するだけでも・・・通常の素材よりも、クリーンカップで、スィートネス、フレーバーに魅力があり・・・嬉しくなってしまうんですね。 でも、それが、その素材の可能性を引き出しきっているか? そこが恐いんですね。 そんな時に、『技術は教えられても、感覚は教えられない』が、強烈に迫ってきます。 緊張する一瞬です。

 グアテマラ・ダニランディアやアルコ・イリス、そしてケニア・・・そのたびに、素材に教えてもらったことが多く、また、サマンバイアにたくさんの学びを得ました。

 ほんのわずかの焙煎スピードの違い・・・10分の間で20秒・・・ですから、20÷600で3%位でも明らかに違ってきますし、ロースティングポイントが2℃違ったら、パッと違う表情が出てきます。

 その上に、ベストがひとつと決まっているわけでは無いですから、あ〜だこ〜だと考え、イメージと戦い、カッピングして、お客様の好みを思い浮かべ、自分の好みを反映して・・・・あぁ♪たのしいですね〜〜〜。

 突然、話しが変わりますが・・・5月にSCAAアナハイムに行って来ます。 去年のマイアミから1年・・・想像を遙かに超える状況に来てしまいました。 マイアミのグアテマラブースでの、素晴らしい素材の数々との出会い! しかし、今なら、あれらの素材を冷静に判断できるでしょう。 あの時は、それぞれの違いは分かりましたが・・・今から思えば・・・随分とおおざっぱな印象で判断だったんでしょう。

 はい♪ 僕の気持ちはアナハイムにスイッチしました。 そして、サマンバイアとの格闘が終わりに近づき・・・『技術とイマジネーションの追いかけっこ』『技術は教えられても、感覚は教えられない』

 この、言葉を改めてかみしめています。 残り少ないサマンバイアを使って、ブレンドのトレーニングに入ります。(あっ!これは、あくまでも練習です、あしからず・・・。)

2002年3月23日 坂本・アナハイム・孝文

 
Copy Right 1999 8
さかもとこーひー
メールはこちらから コラムの目次へ 先週のコラムへ 次のコラムへ トップページへ