カラメル、フローラル、フルーティ、香りの魅力
先週は、「コーヒーdeスパイシー?」で、コーヒーで感じるスパイシーさについて、考えてみました。 そして、最近、僕は《カッピング》と称して、フレーバーがどうした、フローラルだ、フルーティだ・・・・なんだかんだと云ってますね?
確かに・・・コーヒーの香りは魅力的なもので・・・挽いた時・淹れているとき・カップから立ち上る香り・部屋中家中にひろがってなんだか良い気持ちになる香り・飲み終わっても、ふっふっと戻ってくる余韻の香り・・・・ それが、甘〜く甘〜くため息のでるような香りだったら・・・♪♪♪
でも、酸化したようなすっぱい臭い、かすれたような痩せた臭い、焦げた臭い・・・そんな香りのコーヒーは嫌ですね〜?
まぁ、コーヒーの香りと云っても、様々ですが・・・では、本題に入りましょうか? フローラルな香りが良いんだったら、花の香りを嗅げばOKですよね? フルーティな香りが良いんだったら、果物の香りを嗅げばOKですよね? チョコレートの香りが良いんだったら、チョコレートを食べればOKですよね?
そんな偏屈なことを考えてしまいます、みなさんはいかがですか? でも、僕はコーヒーのフルーティさやフローラルさに、花や果物の香りとは、また違った魅力を感じるんです。 そうですよね?
そこで、出てくるのが「乾熱調理」「ロースティング」によって出来る香りの特徴なんです。 僕は以前からこの乾熱調理に注目しているんですが・・・・その香りの特徴は3つあります。
- ディープフライフレーバー(油を熱した時の魅力的な香り)
- メラノイジン(アミノ酸やタンパク質と糖類が加熱された時の香り、蒲焼きやケーキの焼けた香り等)
- カラメル(糖分を焦がした時の香り)
この3つの香りは非常に魅力的なんですが・・・焼きすぎると焦げて不快なものになります。 だいたい180℃前後の温度で、上手に焦げないように焼くと魅力的な香りになるようです。(考えてみると、ケーキやパン、天ぷらにフライ・・・み〜んな180℃位ですね?)
そして、少し話しが飛びますが・・・香りには以外な関係があるそうで、例えば、鰹節とくさやの臭いはだいぶ違いますが、化学的にはほとんど同じ成分からできているそうです。 ほんの少しの成分の違いで、印象が違ってくるようです。 生姜や山椒の香りは薔薇と同類だそうで・・・3つとも僕の好きな香りですが・・・不思議ですね〜? 薔薇と云えば、紅茶やコーヒーにも香りの成分が含まれていますし、驚いたことに、酒やビールにも含まれているそうです。
それに、もひとつ面白いのは、「リモネン」という成分なんです。 これは、レモンに多く含まれているんですが・・・なんと! コショウの香りの半分近くがリモネンなんだそうです。 ですから・・・料理にコショウとレモンを一緒に使うのは、とても納得のことなんですね。(柚子胡椒なんてのはどうなんでしょうね?)
え〜〜〜〜♪ だいぶ脱線してしまいましたが・・・ここいらでコーヒーに戻りましょう。 で、香りの成分のうち、食欲増進(これは個人的に、抑えたいのが本音ですが〜〜〜♪)の効果を持つものが《リモネン》《バニリン》《ブラウンフレーバー(これは乾熱調理の3つの香りです)》の3つなんだそうです。
バニラの香りもコーヒーに感じますから・・・《バニリン》《ブラウンフレーバー》の2つにフルーティさが加わると・・・それはそれは魅力的になるのが納得ですね〜!(コーヒーのフルーティさには、シトラスもあるし、ベリー類もかんじますね〜♪)プラス・・・花のフローラルさや、おまけにスパイシーさまで感じてしまったら・・・♪
そんな特別魅力的なコーヒーの香りは、気温の較差の大きい高地で、様々な気象条件や土壌に恵まれ・・・何よりも完熟度合いの最高のタイミングでの収穫とその後の丁寧な精選・・・によって出来るんでしょう! スペシャルティコーヒーに触れてくると、同じ土地、農園でも、熟し具合や精選の程度によって大きな品質の違いを実感するようになりました。 今回のサマンバイアにしてもグアテマラのダニランディアやアルコ・イリス、そしてケニアンディミ等の素晴らしいスペシャルティコーヒーのフレーバーや爽やかなアシディティ、心地よいスィートネス甘さ・・・なんと魅力的なんでしょう。
そんな香りについて考えてみました。 そして、スペシャルティな素材を最大限に魅力的にするのは、焙煎ローストですね。 その焙煎の可否を判断するのが、カッピングです。 そんな焙煎やカッピング、ブレンドの技術を、素材に負けないように磨くのが、明日の勉強会です。 最近、特に感じますが、ほんの何秒の温度上昇のペースや数度の煎り止めの違いで、いや〜とんでもなく驚くほど魅力が変わってしまうんですね。 その位素晴らしい素材は、我々焙煎人の技量やセンスを試します。 素材が素晴らしいので、どう焙いても、結構美味しくなってしまうのですが・・・その先にまだまだたくさんの魅力を秘めているんですね。 スペシャルティコーヒーに触れれば触れるほど、身震いしてきます。
素材と格闘して、コーヒー特有のフレーバーの魅力をどんどん引き出してしていきたいものです。
では、明日は5時起きで、鹿児島行きですので、そろそろ寝ますね!
2002年3月16日 坂本・フレーバー・孝文
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