進化する焙煎
さて・・・今週は何を書きましょうか? 毎週毎週コーヒーをテーマにコラムを書いてますが・・・パソコンに向かって指が動かない時も当然ながら、ありますね。 う〜〜〜〜ん困った! ん? 困った? そうそう、困っているメールが先日着たばかりです。 それからいきましょうか!
「開店して3ヶ月になるのですが、焙煎に行き詰ってます。さかもとさんの焙煎方法もHPで(何十回と読みました)参考にさせて頂いたのですが、どうも納得のいくものになりません。」 時々、開店間もない方やキャリア数年十数年・・・あるいは、アマチュアのホームローストをしている方からも、質問がくることがあります。
正直・・・使っている素材、焙煎機、目指す味わい、品質、プロですと・・・そのお店のお客さんのお好み・・・それらが分からないとお答えのしようが無いんです。 ですから、ご期待に添えない返事になることが多くて、申し訳ありません。
そ・し・て! さかもとこーひーの焙煎がどんどん変化進化しています。 ですから・・・過去に書いた焙煎方法は・・・今の素材にはふさわしくないところが出てきています。 カッピングもトレーニングを積むことによって、より明確になっていますので、当然のことながら・・・焙煎に反映しています。
そんな、最近のさかもとこーひーの焙煎を振り返ってみましょうか?
- 朝6時過ぎに店に出て、焙煎機に火を入れます。 (毎日同じ時間に焙煎します)
- 釜を暖める間に、生豆を計り、焙煎表を用意します。
- 毎日同じパターンで、釜を暖めています。
- 準備が出来たら、1釜目のスタートです。
- 投入温度と火力を設定します。
- 温度計が下がりきります。これが何度になるか?とても重要視してます。
- そして、温度が上がってきます。
- 10℃毎に時間を計ります。
- その温度上昇のスピードをコントロールします。
- 途中、排気ダンパーを開いていき、排気量をコントロールします。
- そして、ロースティングポイントがきたら、煎り止めて、急冷します。
たった、これだけのことで、1回終わると2釜目〜〜〜〜〜〜と続き、1日3時間位集中して焙煎します。 その後はカッピングでチェックします。
う〜〜〜ん、なんか詰まらないですね?
- 開店以来、オリジナルの焙煎表に全ての焙煎を記録しています。
- それを、カッピングと合わせて・・・良かった時のパターンを再現します。
だから、焙煎とカッピングは裏表で、切り離せません。 カッピング能力が向上しないと、焙煎も進歩しないですね。
だんだん、核心に入っていきそうです♪
- 僕はこのHPを始めた時から云ってますが・・・焙煎を調理と考えて、それは「乾熱調理」つまり「ロースト」の特徴を活かそうと思っています。
- そうすると、豆は丸いので、水分抜き乾燥工程が大切ですね。
- 水分抜きが上手く出来たら・・・焙煎ロースト工程です。
- では、その水分抜き、ローストがうまく進行するポイントはどこか?
- それが分かれば・・・僕も豆もお客さんも幸せ笑顔ニッコリ♪になれますね。
それを、焙煎表の10℃毎の時間変化によって、温度上昇のスピードを把握して、カッピングによって一番良かったパターンを再現するんです。(デリケートな豆、そう!ザンビアは途中の温度進行が、0.2分早いと、そのフレーバーや微妙な味わい、そして魅力的な柔らかな甘さがでません。0.2分ですから・・・10秒少しです。)
えっ? それは何度? 何分? 聞きたいですか〜〜〜? 実は、それを聞いても意味が無いですし・・・却って混乱・誤解の原因になりますから・・・お答えしません。 温度計の位置や長さによっても、一度に何キロで焙煎するか?・・・・その他様々な要因によって、変わってきてしまいます。
結局は、自分の舌・・・カッピングによって検証するしか方法が無いですね。
しかし・・・僕は焙煎をスタートして以来、そのように記録を取って、検証していますので・・・それが楽しいんですね♪
そうして、最近はダンパーの開け方や温度進行、ロースティングポイントがどんどん明確になってきました。(勿論、以前の方法の正しさが分かったこともありますし、徐々に変えていくこともあります。) それは、スペシャルティな素材は、焙煎の変化に嬉しそうに♪ 応えてくれるからです。
ロースティングポイントを1℃2℃変えると・・・隠れていた香りが、突然ニッコリ今日は! おぉ〜〜〜〜〜♪ すばらしい! とにやついたり・・・・爽やかなアシディティが後味の良さを際立たせたり・・・ボディやスィートネスを支えたり・・・ほんと! ワクワクします。
あれ? なんだかんだ長くなりましたね? 質問を下さった方々・・・あんまり明確な答えになっていないかもしれませんが、僕はこのように「プラン・ドゥ・シー」で、仮説をたてては・・・焙煎し・・・カッピングで検証し・・・さらに繰り返す。 これをもう20年位やっているんですね。 これが、楽しいから、ず〜〜〜〜〜っと続けているんです。
ですから・・・あんまり答えを早く求めないで・・・毎日楽しんでください!
2002年2月10日 坂本・ハート。・孝文
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