ラス・ヌベス(グアテマラ)とカチョエイラ(ブラジル)
はい! 今日も初冬の良い天気♪ たった今、カッピングが終わったばかりの、12/8(土)朝11時です。
印象が鮮明なうちに、カッピングレポートを書いてしまいましょう。
今週は、今年の『グアテマラ・カップオブエクセレンスで栄光の1位』になった、《ラス・ヌベス》の別ロットサンプルが来ました。 それと、今年のブラジル国連ITCコーヒーの《カチョエイラ》のご紹介です。 では、はじめましょう!
《ラス・ヌベス(グアテマラ)》
- まず、いつものように、〈ドライ〉粉の状態で香りをみます。 グアテマラのスペシャルティコーヒーに特有の香りが漂ってきます。 フルーティさが印象的です。ベリーやプラムに近いかな?
- お湯を注ぎます、〈フレーバー〉は熱いうちはフルーティさとチョコレート、冷めるにしたがって、チョコレートがどんどん強くなってきます。
- 〈クリーンカップ〉〈フィニッシュ〉がきれいです。 ここの農園の一番の印象はとてもソフト・柔らかな口当たり! しかし、〈ボディ〉はしっかりしています。〈スィートネス〉もやさしい甘みです。 勿論、バランスも良いですね。(柔らかさ、きれいさとボディの強さは相反しないです、また汚れとボディを取り違えやすいようです。)
やはり、優秀な農園ですね、素晴らしいグアテマラだと思います。 が、しかし・・・どうしても、カップオブエクセレンスの時のサンプルと比較してしまいます。
- 〈カップオブエクセレンス〉サンプルの記録を見ながら、思い出してみます。 なんと云っても、〈ドライ〉〈フレーバー〉ともに、フローラルさが印象的でした。 そのフローラルさとフルーティさが渾然一体となった、優しくセンシティブな魅力が他の豆との違いでした! その魅力はこの別ロットには無いですね。 この時のフルーティさは柑橘シトラス系でした。 決して強い香り、味わいでは無く、穏やかなやさしいキャラクターなんですが、そのクオリティが抜きんでていて・・・魅力的でした!
- 次に感じるのは、〈アシディティ〉の魅力ですね。 この別ロットにも、良質なアシディティがきちんとあるんですが・・・〈カップオブエクセレンス〉サンプルには、もっともっと爽やかで、思わずニヤリ、ニコニコしてしまう、魅力的なアシディティがありました。 このアシディティは甘さや後味の切れの良さを引き立て、次のひとくち、又その次のひとくちを誘ってきます。 今回の別ロットサンプルには、そこまでのアシディティの魅力は無いですね。 おっと・・・失礼しました、カップオブエクセレンス1位のサンプルと真っ向から比較してはいけないですね。 勿論、今回のラス・ヌベスもとても高品質なグアテマラです!(時期的にどうしても鮮度が落ちてきてますので、その影響がある程度あるでしょう、そして、カップオブエクセレンスのロットはラス・ヌベス農園の中でも、特別際だったものだったのでしょう。)
- そんなこんなで、〈ラス・ヌベス農園〉は優秀であることが良くわかりました、そして、《カップオブエクセレンス1位》のロットの持っていた、繊細で複雑で魅惑的な魅力! それこそが、1位に輝いた他に無い要素なんだ、と再確認しました。 また、そんな素材は本当に限られた天の恵みなんだ!
とも思います。(パチパチパチ〜!)
《カチョエイラ(ブラジル)》
- 今年のブラジルのITCコーヒーです、仕入れる前のサンプルローストでは、とても爽やかな印象で、これはなかなか良い! そう思いました。 そこで、仕入れて、中煎り、深煎りと焙煎してカッピングです。
- あれ〜? おかしいな〜! あのサンプルの印象とは全く別物です。 他のメンバーに聞いても、あまり良い評価はありません。(ここで、また、要注意です。通常のブラジルと比較したら問題無く、高品質です。クリーンカップ、フレーバー、ボディ、フィニッシュ、スィートネス・・・どれも優秀です。誤解の無いように!) 1年前半年前と比べても、みんな随分と贅沢になってしまったようです。 本当に、あっと思わせる、記憶に残る印象が無いと、なかなか良い評価が出てきません。
- そんな時に、尾道バグ郷さんから、「これ良いよ!」札幌横井りきちゃんも「おいすい〜!」連続パンチ〜!きましたね〜。はっ!としました。「郷さん、ロースティングポイントは?」「結構手前だね〜!」これで、解決です。
- なんで、こんなことに気がつかなかったんだろう? うっかりしてました。 特に中煎りは、今までのロースティングポイントで判断してました。 サンプルはもっと手前だったのに・・・そこで、たった!
たった! ですよ、2℃手前で煎り止めました。 そしたら、釜から出したときの香り、挽いた時の香り、淹れた時・・・全然違います。 ふわ〜っと心地よいフルーティさとほのかなチョコレートが鼻をくすぐります。
- 味もクリーンカップ、ボディ、スィートネス、アシディティ、フィニッシュ、バランス、ぐっと魅力的になってます。 特徴的なのは、爽やかさですね。 特に、浅めの中煎りですから、《軽めのコーヒーがお好みの方にはおすすめです。》さかもとこーひーは濃いめのガツンとくる印象のコーヒーが多いので、こういうタイプは貴重ですね。
- 「深煎りブルボン」も穏やかな深煎りブラジルに良さが発揮できました。 これもOKです! 香りも後味の良さも印象的です、勿論スィートネス甘さもおすすめです。 本来、標高の低いブラジル(1000m前後)は深煎りになかなか向きません。 それを、微妙な煎り止めで、ブラジルの持つ深煎りのやさしい味わいを焙きたいのです。 ですから、中煎りと比べても、わずか! 深煎りにしているだけです。 しかし、中煎りとは明らかにキャラクターが違ってきます。
- 昨年のリメイラ農園が少し強く焙くことで良さが出るタイプでしたから、対照的ですね。
- 言い訳をすこし・・・なんで、最初からロースティングポイントに気がつかなかったのか? 通常は、ロースティングポイントがずれていても、あっ、ずれてるな〜!って感触は感じさせるんです。 それで、調整するんですが・・・このカチョエイラは、わずか、1℃、2℃の違いで、まるで違うコーヒーのように、ガラっと魅力が発揮されたり、平凡になったりします。(そういえば、アルコ・イリスもほんの1℃2℃でガラっと魅力が変わりましたね。) う〜ん、油断大敵! 自分がロースティングポイントを掴めていないのに、たいしたこと無いと判断する恐れがありますね。
- カッピングのトレーニングがほんと! 大切だと実感しました。
では、最後に《ラス・ヌベス》と《カチョエイラ》のデータを少しご紹介します。
*ラス・ヌベス(グアテマラ)
- 2001年グアテマラのカップオブエクセレンスオークションにおいて、国際評議会より最高点を与えられ、第一位に輝いた農園のコーヒーです。
- グアテマラとホンジュラス、エル・サルバドルの国境に接するラ・グラナディラにあるラス・ヌベス農園は、グアテマラの伝統的なコーヒー生産地としてはこれまで知られていませんでした。 ドン・ファビオ氏は両親よりコーヒー生産に関する経験を引き継いできました。 彼が本当にコーヒー生産に没頭したのはこの9年間であるといいます。
- ラス・ヌベスと言う名前は、この地域で日が暮れる時にコーヒーの木を一面に覆う雲に由来します。
- 標高4700フィート(1400m)のラス・ヌベス農園では、主にカツアイ種が栽培されています。 険しい地形、砂質と粘土質の土壌はカツアイ種にとって理想的で、高品質のコーヒーが収穫されます。 低目の気温で穏やかな気候ですが年間降雨量は82インチで、それは土を肥沃にし、1haあたり4200ポンド(パーチメントで)の生産量を実施します。
- 農園の31haのうち62%は杉や松が主体の森林で、この森林保護により3つの水源は農園に水を供給し、非常に環境にやさしい農園です。
- ドン・ファビオ氏は彼の時間の全てをコーヒー栽培、手摘みによる収穫、ミルによる処理工程、天日乾燥に捧げています。
*カチョエイラ(ブラジル)
- 2000年のブラジル・カップオブエクセレンスのウイナーです。
- サンパウロ州モジアナの1100〜1250mにある農園で、平均気温は19℃、平均降雨量は1800〜2000mm。
- ここの地域は山岳地帯で、その地形により機械化ができないそうで、逆に手作業に頼ることで、品質アップにつなげているようです。
- 農場スタート以来の107年にもなるブルボン種の木が園内にあり、在来種を大切にし、豆はシートの上で収穫、パルプトナチュラルで精選されます。
- 収穫後もこの地域の特徴であるボディとカップクオリティを失わないように最大限の注意をはらっている、とあります。
こんなところで、また、来週のお楽しみ!
2001年12月8日 坂本・ハッピーX'マス・孝文
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