今日は、グアテマラ・ベル・カルモナのカッピング
《カップ オブ エクセレンス グアテマラ・ダニランディア》の入荷まで、あと1週間です。 4月にマイアミに行って、グアテマラブースでその素晴らしい魅力にとりつかれ、6月に「カップ オブ エクセレンス」のオークション参加、そしてゲット、いよいよそこまで来ました。(あぁ、待ち遠しい・・・・・!)
もう、僕の頭の中は「グアテマラ・ダニランディア」でいっぱいです。 そんな8月23日(木)に別のグアテマラ豆のサンプルが届きました。
《グアテマラSHBアンティグア ベル・カルモナ ブルボン種》と云います。
最近はあちらこちらから色々な情報やサンプル豆が届くので、勉強にもなりますし、たのしいですね!(ニコ♪ニコ♪)
グアテマラの話しばっかり続きますが、今が旬の話題なので、お付き合い願います。 では、はじめますよ〜、(ドキドキ!)
- 豆は2ロット、〈やや浅め)、(やや深め〉、です。
- ドライ、挽いた時の香りです、〈浅め〉はフルーティーさが最初の印象ですね〜、ベリー類でしょうか? あとからチョコレートもかんじますね〜! それほど強烈ではありません。〈深めの豆〉はどうでしょう? あっ、良いかおりです、強いですね〜、スペシャルティのグアテマラの香りです。 やはりフルーティーです、それにフローラルお花の香りもあります。 甘い感じもあります。 点数をつけると、〈浅め〉が2/3、〈深め〉が2.5/3、そんな違いが強さと質とあるように思います。
- お湯を注いで、待つ間に、水をピューッ! ヒューッ! と口中いっぱいに吹き付けてコンデションを整えます。 さぁ、いきますよ〜。
- まずは、〈浅めの豆〉です。 おや? アストリンジェント、少し刺激的な口当たりです。 う〜ん、これはどうかな〜? 少し冷めてきました、刺激が消えています。 フルーティー、チョコレートの香りが最初ですね、もう少し集中してみます。 あぁ、ワイニーわいんっぽい香りですね、強いタイプのダージリンの感じもありますね。 オイリーで滑らかになってきました、スィート甘いですね。 アシディティはどうでしょう、しっかりしてますが、素材の可能性を予想させますが、ローストのせいでしょうか? ちょっと大人しいフラットに思います。 クリーンさ、フィニッシュ切れの良さ、ボディともう一押しです。
- 〈深めの豆〉はどうでしょう。 おぉ、クリーンですね、ボディがしっかりしてます。 ワイニー、フルーティー、チョコレートな香りが強く心地よいです。 あま〜いあま〜いスィートネス、魅力的ないきいきとしたアシディティで、次のひとくち、次のひとくちを誘います。 フィニッシュ切れもよいです。 飲み終わった印象、全体的な印象もいいですね〜!
浅めのサンプルがちょっと気になりましたが、深めは問題無いですね〜、スペシャルティと云えると思います。(オークション豆と比べると複雑さ・繊細さがすこし・・・・すいません、えらそうなこと云っちゃいました)でも、浅めはローストに問題がありそうです、もう少し焙煎でピタっと決めれば、浅めでも、特にブレンドで威力発揮しそうです。 アシディティやスィートネス、オイリーで滑らかな良さ、魅力的な香り、その辺がブレンドに使って、グッと美味しさを高めてくれそうです。
と、ここまでが昨日のことです。 今日25日お昼のあと、深めの豆をカフェプレスで2杯分淹れて、マグカップで何気なく飲んでました。 いいかおりいいかおり、と飲んでいたら・・・・・・冷めてくると、ありゃりゃ、とても魅力的なアシディティの爽やかさの後ろに、う〜んちょっと重いというほどでも無いけど、爽やかさを消すような鈍い印象があります。 う〜ん、ローストかな〜?
ここで、バグの郷さんから電話が入りました。
- 「バグです、さっき豆着きました。」
- どうでした?
- 「浅めは熱いと刺激を感じるけど、冷めてからが結構良いので、可能性ありそうだね」「深めは香りのバランスも良いし、味も良いけど冷めるとちょっと気になるね」
- そうそう、今マグカップで飲んだんだけど、冷めるとアシディティが、魅力に変わりきって無い感じがあるんだよね?
- 「どうもサンプルローストの問題じゃないかな?」
- でも、きっちり焙いたら良さそうでしょ? あと、ロースティングポイントももう少し変えたら可能性あるね?
- 「そうだね〜!ブレンドでも色々良さそうだね」
まぁ、だいたいこんな話しをしました。
そしたら、今度は丸山健ちゃんです。
- 「坂本さん、着きましたよ」
- おぉ、さっき郷さんと話したんだよ、で、どうだった?
- 「浅めはフルーティーでシトラスを感じました。ワイニーやチョコレートも、、、。深めはフルーティー、シロップ、フローラル、、、」
- 「浅めはアストリンジェントがありますね。クリーン、ボディ、スィートネス、フレーバー、フィニッシュ、バランス、オーバーオール、、、」
全部話してくれました。 生豆を健ちゃんに送ったので、カップ オブ エクセレンスの時と同じようにサンプルローストして、またみんなでカッピングします。 この繰り返しが楽しくて、またちからにもなりますね。
こんなトレーニングを積み重ねて、お互いの物差しに共通性を持たせ、その先に、産地の方々とのコミニケーションで、きちんと品質のこと、こちらの望むタイプ等を伝えたいと思います。 兎に角、風土も歴史も民族の常識も食習慣も金銭感覚も言葉も・・・・・・もういっぱい、違いがあるので、時間がかかります。 その上、日本の商社、ロースターがアシディティや酸味に代表される誤解を重ねてきたので、一つずつクリアーするしか無いでしょう。
でも、やりがいがありますね!(ワクワク!)
さぁ、こんなこと書いてる間に、《カップ オブ エクセレンス・グアテマラ・ダニランディア》がそこまで来ました。
お楽しみに! では、また、来週。
2001年8月25日 坂本・ダニランディア・孝文
*付録《グアテマラ情報》
2001年5月30日帝飲新聞、東日本コーヒー商工組合
ANACAFEプレゼンテーションより
- グアテマラはアメリカ大陸中央、ポルトガルと同じくらいの広さ ・地質は《火山堆積物と石灰岩》から形成されて、《ミネラル分》と《有機質》が豊富である。
- 国土の2.6%に栽培されて、100%アラビカ種、ハンドピック、100%水洗式。
- アンティグアはグアテマラのコーヒーヒストリが始まったところ、1700年代中頃キリスト教牧師が修道院の中庭を飾るために植えた。
- 1880年までにもっとも重要な輸出作物になった。
- 輸出の83%は米国ドイツ北欧日本へ輸出、日本向けは4%〜9%へ15年ほどで伸びている。
- この5年間で日本はPWとEPWの買い付け国からSHB買い付け国へ転換している。
- グアテマラのコーヒー市場は競争力がある。
- 6万人を越えるコーヒー生産者は零細で、殆どの人が収穫したコーヒーを組合の加工所で処理する。
- 農園は小規模〜大規模まで2000を越える。
- コーヒー輸出会社は80社、そのうち10社が協同組合。
- 輸出の85%は大西洋側、15%が太平洋側の港から船積みされる。
- コーヒー生産者は社会問題とエコロジーにも真剣に取り組んでいる。 地域開発基金を設立して教育健康部門の資金援助をしている。
- エコロジーは、グアテマラのコーヒー農園が中央アメリカ最大の「人工の森」を形成し、コーヒーとシェイドツリーによる森は1日に400万〜500万Tの酸素を生み出している。
- 刈られたシェイドツリーはグアテマラで使われる薪の16%を担う。
- 3800万本のシェイドツリーは小鳥や渡り鳥にとっても重要な役割を果たしている。
- 果肉と粘液は肥料になる。
- 殻はドライヤーの燃料。
- 水洗処理の水は90%減らした。 パーチメントコーヒー1袋を生産するのに必要な水を、2000Lから200Lに減少させた。
- 美味しい珈琲を作る為には、多くの努力、正確さ、厳しいハードワークが必要で、そのことを知る人は少ない。
- 実をもっとも熟した時に手摘みしなければならない。
- 収穫後数時間のうちに処理をして、発酵を避けなければならない。
- フルーツは手動か機械式の脱穀機を使い種を取り出す。
- 正確に目盛りのついた回転翼と固定刃の間でかき混ぜる、間隔が狭すぎたらパーチメントは割れて、豆と外皮がダメージを受ける。
- 発酵層に入れるのは、2〜3時間以上かけてはいけない、発酵のムラにつながる。
- 発酵時間は14〜40時間かかるが外気温で変わる。
- 発酵はミューシリッジ(粘着液)と呼ばれる実に付いたゼリー状の物質を取り除くために行う。
- このプロセスのタイミングが難しい。
- きれいになった豆はパーチメントに状態で乾燥に移る。
- グアテマラの大部分はコンクリートかレンガの上で太陽の下、完全に乾かす。
- 広げた豆の厚さは1インチ以上あってはいけない。
- 15〜30分毎に混ぜ返し、充分に乾かさなければいけない。
- 乾燥には5〜7日間かかる。
- 天候が悪い時は乾燥機にかけられる・ ・乾燥機内の豆の温度は45℃を超えてはならない。
- 天日乾燥をシュミレーションする。
- 乾燥豆の水分含有率は正確に11〜12%の間、乾燥が終わると、麻袋に入れられて65%前後の湿度で保管する。風邪通しの良さが大切である。
- 麻袋はドライミルに運ばれて、パーチメントを取り除く。
- パーチメントは脱穀機の中で、摺り合わせて、グリーンコーヒーになる。
- 振動機を使ったり篩い機を使ったり、サイズとウエイト別に分類する。
- 最終工程は電光選別機か手作業による。
- 最高の豆を保証する方法は「熟練した」「正確な」「手によって」これが唯一である。
- コーヒーは高度2000Mの山の斜面で栽培され、やさしい気候に恵まれている。
- グアテマラの気候と降雨パターンはコーヒーにとって理想的である。
- 主たる地理的影響(太平洋と大西洋、火山湖、テウアンテペック平野)が気温を高地温暖に保ち、霜を防いでくれ、豊かな火山性石灰土壌に恵まれている。
- そして多くの川とせせらぎが人里離れた加工場に水と電力を供給し、これらのおかげで、どんなコーヒーも収穫後数時間以内に処理できる。
《地域別の特徴》
トラディショナル・アティトラン
- 高度、、、1500〜1700M
- 気候要因、、、大きな火山湖
- 年間降雨量、、、800〜2300MM
- 平均気温、、、20〜23℃
- 湿度、、、75〜85%
- 原則的乾燥方法、、、天日
- シェードツリーのタイプ、、、グラビレアとインガ
- 収穫時期、、、12〜3月
- カップの特徴、、、スパイシー、ナッツ、強いアロマ、フレーバーは甘く複雑、スムーズな酸味と強いボディ、長く時にスパイシーな後味。
レインフォレスト・コバン
- 高度、、、1300〜1500M
- 気候要因、、、大西洋流域
- 年間降雨量、、、3000〜4000MM
- 平均気温、、、15〜20℃
- 湿度、、、85〜95%
- 原則的乾燥方法、、、ドライヤー
- シェードツリーのタイプ、、、インガ
- 収穫時期、、、12〜3月
- カップの特徴、、、心地よい芳香と風味が他地域とはっきり区別、バランスの良いデリケートな酸味、クリーミーで強いボディ。
ボルカニック・サンマルコス
- 高度、、、1400〜1800M
- 気候要因、、、太平洋流域
- 年間降雨量、、、4000〜5000MM
- 平均気温、、、21〜27℃
- 湿度、、、70〜80%
- 原則的乾燥方法、、、天日とドライヤー
- シェードツリーのタイプ、、、インガ
- 収穫時期、、、12〜3月
- カップの特徴、、、クリアーでソフトな酸味、スイートでメローなフレーバーとアロマ、スムーズでライトなボディ、強いコーヒーの特徴。
フライハネス・プラテマウ
- 高度、、、1400〜1800M
- 気候要因、、、高地の平原
- 年間降雨量、、、1500〜3000MM
- 平均気温、、、12〜26℃
- 湿度、、、70〜90%
- 原則的乾燥方法、、、天日
- シェードツリーのタイプ、、、インガ
- 収穫時期、、、12〜3月
- カップの特徴、、、口を包む濃くバターのようなボディ、複雑なフレーバーが強まる、後味は長い、良い酸味でとてもバランスが良い。
アンティグア・クラシック
- 高度、、、1500〜1700M
- 気候要因、、、谷間
- 年間降雨量、、、
- 平均気温、、、18〜22℃
- 湿度、、、コンスタントに65%
- 原則的乾燥方法、、、天日
- シェードツリーのタイプ、、、グラビレア
- 収穫時期、、、1〜3月中旬
- カップの特徴、、、フローラルなアロマ、フレーバー、明るくはじけるようなボディ、充分な酸味、バターのようなボディ、コーヒー鑑定家最も推奨するコーヒー。
ニューオリエンテ
- 高度、、、1300〜1700M
- 気候要因、、、大西洋
- 年間降雨量、、、1800〜2000MM
- 平均気温、、、18〜25℃
- 湿度、、、70〜80%
- 原則的乾燥方法、、、天日とドライヤー
- シェードツリーのタイプ、、、インガ
- 収穫時期、、、12〜3月
- カップの特徴、、、バニラのようなアロマ、スムーズなボディとクリアな酸味、甘くてカラメルのような強いフレーバー。
ハイランドウェウェ
- 高度、、、1500〜2000M
- 気候要因、、、テウアンテペック平野
- 年間降雨量、、、1200〜1400MM
- 平均気温、、、20〜24℃
- 湿度、、、70〜80%
- 原則的乾燥方法、、、天日とドライヤー
- シェードツリーのタイプ、、、インガ
- 収穫時期、、、1〜4月
- カップの特徴、、、口のなかで層をなす深いフレーバー、とてもきれいな酸味、酸味とボディが絶妙なバランス、後味が長く続く。
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