焙煎とマーケティングの実際 7

さかもとこーひーの焙煎(2)

 今回は「自家焙煎の強み」がテーマです。

 ある大手ファミリーレストランの社長さんが以前「地元に根付いた美味しい洋食やさんがあったら当チェーンの店はその近所では絶対にかなわない、しかしそんな優秀な店はめったに無い、だからチェーン店としては安心して展開できる」というようなお話をしてました。この話しはそんまんま自家焙煎店と家庭用レギュラーコーヒーマーケットを狙う大手ロースターやチェーン店との関係に当てはまります。
 高品質な豆が商売になると判れば大手は生豆ルートも資金力、人材も設備も持ってますからどんどん品質を向上させてきます。そうなった時に個人店として負けない、いや却って大手が開拓してくれる客層を自店に取り込める存在になりたいものです。

 その可能性を持つのが「自家焙煎の強み」です。

 焙煎の話しをして行きますが、自家焙煎とは焙煎機でコーヒーを焙くだけでは何の意味もありません。それではコーヒー研究家やロースター、最近ではアマチュアのホームローストをする人と同じレベルです。コーヒー研究家やマニアでとてもコーヒーについて詳しい方がいます。コーヒーのいろいろなことをプロの私よりも知っている方はそこら中にいるでしょう。しかし自店のお客様がいてその人たちのためにコーヒーを焙煎できるのは自家焙煎店のオーナーだけです。コーヒー研究家やマニアは自分や家族、限られた友人のための焙煎でしょう。

 ロースターの方も目に見えないバーチャルなお客様を対象に (あるいは単に商品として)焙煎しています。自店のお客様やお客様になりそうな方のために、生豆を選び、品揃えをして、焙煎、鮮度管理、商品管理までのトータルがあって自家焙煎の強みになります。ただ単に自家焙煎するだけでは(今までの豆売り店が珍しい未成熟な時代には良くても)これからの成熟してくる時代には強みにならず、かえって小規模な弱みだけが表面 化すると思います。

 ましてや、皆さんが今インターネットでこのページをご覧になっているように凄まじい勢いで情報革命がすすんでいます。宅配便とインターネットの普及は自家焙煎店にとって強みにできる店と弱みになってしまう店とをよりいっそう明確に分けるでしょう。

 以上の考えを基本として当店の焙煎があります。

 お待たせしました、次回から当店の焙煎についてです。

 
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