焙煎とマーケティングの実際 12

さかもとこーひーの焙煎(7)

 ぱちぱちと1ハゼが始まりました。

 焙煎スタートから蒸らしまでが、、、7分位
 蒸らしから1ハゼまでが、、、6分位、足して12分位
 1ハゼから煎り止めまでが、、、4分強、足して17分位(あくまでも目安です)

 前回書いたように1ハゼからは温度が上がり仕上げの乾熱調理の段階ですので、どんどん焙煎がすすみコントロールが難しくなります。ここまでを準備段階とすると(ここまでで失敗しても取り返しは出来ませんが)ここからも、特に煎り止めは1℃単位 、秒単位のタイミングが必要になります。集中力が大切です。

 やることは、ここまでの焙煎と同じで焙煎スピードのコントロールとダンパー操作です。

 深煎りシモサカの3キロ焙煎は185℃で1ハゼがきます。ここでダンパーを4/8に開きます。煙や色々な成分が揮発して出てきますのでだんだんダンパーを開き、排出していきます。焙煎機の違いや同じ焙煎機でも煙突その他の条件、環境により煙突の能力に差があるようなので、常にテイスティングによってダンパーの開く加減を調整することが大切です。

 185℃から195℃の時間を測ります。この時間で次の火力調節をしています。ダンパーは6/8にさらに開きます。

 次は200℃でチェックして火力調節をします。

 208℃で2ハゼがきます。ここでも時間をチェックして火力調節します。ダンパーは全開です。

 214℃で煎り止めです。210℃位から冷却機を回して煎り止めと同時に素早く冷却します。

 1ハゼから2ハゼまでの基準の時間が3.3分、2ハゼから煎り止めまでが1.0分です。

 火力は同じならば同じように温度上昇するかと言えば、そんなことは全く無く、たんなる目安です。焙煎全体を通 してどういう状態で来ているか、そのポイントの前はどんな火力で来たか、等により釜全体が持っているカロリー他の状況が違いますので、焙煎の流れを大切にしています。

 当然、常に音、香り、豆面、煙、温度、時間等をチェックしています。毎回記録表を付けているので、照らし合わせながらの焙煎ですので、そんなに頻繁にチェックしなくても焙煎に変化はありませんが、最終的には五感が頼りになります。記録を取ることにより、必要なポイントだけ集中するよう合理化しています。

 煎り止めは豆により1℃の中でも温度が変わった瞬間がベストの時があれば、次の温度に変わる直前がベストの場合もあり(そんなに微妙でない豆もあります)その辺は色、香り、音全てを判断の材料にしてます。

 以上で私の焙煎が終わりました。

 

 浅煎り、中煎り、深煎り等で極端に焙煎が変わることはありません。考えていることは煎りムラをしない焙煎です。自分のイメージしている味になる焙煎を煎りムラが無い焙煎スピード、煎り止めと勝手に決めつけて、その焙煎を再現します。その焙煎で気に入った香り、味わいが最高に表現されます。豆の持っている可能性を煎りムラの無い焙煎により引き出しているイメージです。

 ですから、焙煎によって何か特別の香りや味ができるとは思っていません。出来ることは煎り止めのコントロールですか。これにより表現したい味が変わります。
 細かいコントロールをする時は1℃単位でサンプルをとり煎り止めを決定します。

 焙煎途中のスピードのコントロールの基準はテイスティングによって、自分の好みのバランスを決めているので、その好みがどういったレベルかが大切です。これは珈琲だけ飲んでいてもあまり良いテイスティング能力は出来ません。飲むお客様は普段の生活のなかで色々な経験をし、色々と食べて飲んでいるのですから珈琲もその一部でしかありません。

 私は不特定多数の方に自分の珈琲を飲んで貰おうとは思っていませんし、そんなことは嫌いです。どこかで私の感覚と合う、縁の有った特定多数の方の為に毎日焙煎しています。

 ですから、当店はある方にとっては夢のような店になります。が、別 の方にとっては訳の分らない、不親切な店にもなります。焙煎と違う話しになってしまいました。

 焙煎については少し休んで皆さんの反応を待ち、もっと具体的なお話をします。

 次回からは、マーケティングの色々を分り易く、利益に繋がるように心掛けて展開していきます。

 
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さかもとこーひー