週間コーヒーコラム5

続 こうばしい美味しさ

生豆という大豆のような色(生成り色から少し緑がかった)の状態で仕入れるコーヒーは、焙煎(ロースト)という「火」のパワーの洗礼をうけて、こげ茶色のこうばしいコーヒー豆になります。
農産物であるコーヒーは生豆が良く(健康で、栄養状態良く)なければ焙煎以降どんなに気合をいれてもそのレベル以上の味・香りにはなりません。
どのような生豆を仕入れるかで、その店の味の可能性が決まってしまいます。
そしてたとえ同じ仕入れをしても、「それぞれの店の味・香り」につくり上げるのが、焙煎(ロースト)です。
「ロースト」はローストビーフ、チキンなどにも使う言葉ですが、火であぶり焼く意味です。私は焙煎も調理の一種だと考えています。
調理はおおきく「乾熱調理」と「湿熱調理」に分けられ、焙煎(ロースト)は「乾熱調理」にはいり、水を介せず直接に加熱する調理で、その特徴のひとつは魅力的なこうばしい香りにあります。だいたい150度C〜180度Cの間で加熱した時にできるなんとも良い香りは、おおきく3つの化学変化によって生まれます。その化学変化は、「糖類のカラメル化」「脂肪の分解によるディープフライフレーバーの生成」「アミノカルボニル反応によってできるメラノイジン」です。同時にこんがりと美味しそうな焼き色もつきます。
次回もこうばしく美味しい話しが続きます。

 
Copy Right 1999 8
さかもとこーひー