プロのつぶやき

    週間コーヒーコラム174

珈琲の森

種からカップまで

30年近く前、フルーツパーラーで仕事をスタートしました。その頃最初にコーヒーを淹れたのは、毎朝20杯30杯とまとめて、大きなネルを使ってのドリップでした。仕事に慣れてくると・・・家でサイフォンを使い始めました。そして、専用のドリップポット、手挽きミルを買い、毎晩ネルの1杯だてです。次には、だんだんと、ペーパードリップが普及してきました。

有名店を廻るうちに、焙煎に興味がでてきました。あぁ、いいなぁ〜・・・子供の頃から職人さんの手業に憧れていた僕は、自分の焙煎で、自分のイメージの味作りをしたら、どんなに楽しい人生だろうと思いはじめました。すぐに、手網焙煎をスタートしました。

僕のコーヒーの仕事は、淹れることから〜焙煎へむかってきたのです。そんななかで、抽出や焙煎の技術的な壁にぶつかり・・・コーヒーの魅力に迷い・・・暗闇の中をすすむしか無かったのです。そして、さかもとこーひーを自家焙煎店としてスタートしました。素材との格闘が深まります。何が最高なのか?見えてきませんでした。知り合った同業の方々には「あの時の○○コーヒーは凄かったよ」「あれは忘れられないね!」そのようなお話しはたくさんされました。僕は「そんな昔話しは、もういいから・・・今この目の前に最高のコーヒーをだしてくれよ!」そんな気持ちが渦巻いていました。同業の方々から聞こえてくるのは、いつも、今の素材の愚痴ばかりでした。つい数年前・・・4年5年前はそんな状況でした。国内に流通している色々な素材にチャレンジしても、霧ははれませんでした。

話しは飛びますが、そして・・・先週の7日(金)に、パプアニューギニアからお客様が見えたので、都合のついた仲間7人が都内のホテルでお会いしました。それは、2000年に鹿児島のヴォアラ珈琲井ノ上さんが、パプアニューギニアを訪れ・・・その時に、Kongo Coffee Limited のJerry Kapka 氏とお話しをして、

  • 小規模生産者との取り組み
  • 生産地の自然環境の維持・保全。植物生態系の保全
  • 生産者の社会問題解決

などを基本とした品質向上策を要請した経緯があったのです。そのような流れがあって、今回の来日に際して、我々仲間も一緒にお会いしました。Kongo Coffeeのカッパーの方もいらして、実際にカッピングをしながら、

  • 小規模生産者について
  • 精選の詳しい説明
  • 自然環境の保全や生産者の社会問題解決について

色々と熱のこもった話しが続きました。

昨年もブラジルサマンバイア農園のカンブライア氏やグアテマラの関係者の方とお会いして、産地の状況、生産者の方々の実状、品質向上の問題点・・・少しずつコミニケーションを取れるようになってきました。スペシャルティコーヒーのムーブメントが追い風になっています。《カップオブエクセレンス》が優秀な農園と高品質な生豆を必要としている我々を結びつけてくれています。4月にはボストンのSCAA大会が待っています。そして、今年こそは産地を訪れようと思います。『【僕の目の前にあるカップの、この魅力】をコーヒー大好きなあなたへお届けすること』この2003年のテーマが、コーヒー産地と一直線につながることを目指しています。

SCAAで良く目にする【from seed to cup】というフレーズがあります。

コーヒーをさらに美味しく魅力的にするためには・・・種からカップまで・・・バランス良く理解し、向上することが・・・如何に重要か!身にしみてきます。

まだ、スタートしたばかりですが、この流れを大切にしていこうと思った次第です。『スペシャルティコーヒー』の魅力が、生産者の方々〜お客様まで、良い関係を築きあげそうです。

『アグア・リンパ』『ブラジルナショナルアワード』も、もうすぐやってきます。『サマンバイア農園』も一緒にやってきます。いよいよ、スペシャルティコーヒーの次のステップアップが近づいてきたようです

では、また、来週。

《ニコニコほのぼのワクワクな、
  《旬・瞬》珈琲をお届けしています♪》

 

2003年2月15日 坂本・seed to cup・孝文

 

 
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