焙煎とマーケティングの実際 17

船井総研珈琲チームとの1年

 去年(1999年)の11月に船井総研から突然DMが来ました。

 サラリーマンの子で商売の常識無し、オタッキーなタイプで凝り性な若く生意気な独り善がりは貧乏まっしぐら!そんな私は他に何もできないので珈琲や紅茶の世界で食べて行くにはどうしたら良いか?活字中毒を生かして経営や商売の本を読むようになりました。
 そんな本の中に船井総研関係のものがいくつもあり、そしてその小売業について書かれている事が実践的で、揚げ足を取るのが得意な私にもとても納得がいくことが多かったので、何時の間にか船井の本を中心に後はアメリカのマーケティング本の翻訳で面白そうなのをピックアップして参考にすることが多くなっていました。

 そんな手探りの10年15年20年が経った時にきたのがそのDMです。

 えっ!!!!、何で船井が豆売り店向けのセミナーをするのか? 12月1日という豆売り店にとってはハイシーズンに突入の日に開催するなんて!なんてことだ!と思いながらも即FAXで申し込んだのが郵便が届いてから30分後の11時半、お昼を取りながらゆっくりと見直して、さぁ、パッキングだ、と仕事にかかった1時10分、担当のO君から電話がありました。

 最初の申し込みだったそうです。いきなり話しが噛み合い、質問集を作り、当日が来て、質問の95%は僕がひとりで最前列でして、翌1月正月明けにはO君が来店。春からの勉強会では毎回終電まで2次会3次会で飲み込み話し込み、そして勉強会と9月のセミナーでのゲスト講師で協力し、11月のセミナーでは友人5人と参加したら知り合いが何人も来ていて盛りあがりました。

 始めは船井の異業種での成功例、手法を単に豆売り店向けに落とし込んだ程度でしたが、ひと月毎にそのノウハウ、情報が蓄積し、今ではほとんど完成の域に近づいてきました。

 大きかったのはセミナー勉強会で知り合った多くの人との情報です。様々な方々の協力によって、今まで表に出てこなかった成功例失敗例が集まり、そこに異業種で鍛えた船井の手法が出会うと見る見るうちに無駄が無い、豆売り店向けの方程式が出来上がってきました。

 例えば、価格設定の仕組み、チラシの一番費用対効果の大きい枚数、範囲、紙のサイズ、色、スタイル、、、、、DMの出し方、営業の成功例、顧客管理の仕方、店頭ディスプレイ、店内陳列の基本、、、、。書ききれませんが(そして残念なことにさかもとこーひーは来店ゼロの店なのでチラシや陳列のノウハウはいくら詳しくなっても自分にはあまり役にたちませんが、、、)要はお客様とどう出会って(集客)来店して頂き、お店で楽しい時間を過ごして、最後にはお買い上げ、そして家庭で満足してもらう、、、リピートして頂き、一生のお付き合いを、そして出来ればコーヒー好きな方をご紹介して頂く、そうやってコーヒーの魅力が広まっていく。そんな流れを上手にして、お客様にストレス無く喜んでもらう、その為にはどうしたら良いか!その勉強です。

 当たり前と云えばその通りですが、繁盛店は皆そんなことは出来てます。

 自家焙煎店は頑固が売りでお客様に喜んでもらうのが苦手、安売り上手で美味しさ下手、声は大きく品質自慢しかし値段の高さも自慢の店が目立ちます。でも、お客様にとっては高品質な美味しい珈琲が手ごろな価格で気軽に楽しめるのが快適なんですから、うちは〜だから高いんだ美味しんだ、うちは卸し価格で安くて美味しんですと言いながらとんでも無く不味い、なんてのは辛いですね。

 このページは一般のお客様は見ていない筈ですから、こっそり云いますが、実はトップ中のトップの凄い豆を仕入れて手抜き無しで焙煎して、キロ2000円から販売してもきちんと生活出来るんです。そうするとお客様はとても喜んでくれます。

 そんな理想的な平和で豊かな商いの可能性が大きくなった船井珈琲チームとの1年でした。準備はしておくものですね、出会いのチャンスをわずか30分で掴めました。

 21世紀は更に深化して、これからの珈琲に憑かれた若い人たちがもっと珈琲の魅力をひろげて、生活も安定出来る様にしたいですね!そうすると日本の各地で美味しいコーヒーが手軽に毎日楽しめて、コーヒーを一生の仕事に選んだ私はとても満足、プライドが持てる仕事と思えます。親や親戚世間の、あいつは真っ当な仕事につかないで分けの分らない自分勝手なことをやっている、なんて視線も無くなるでしょう。

 
Copy Right 1999 8
さかもとこーひー