週刊こーひーコラム「プロのつぶやき」

No.657【職人ワザ!】

お待たせしました♪昨日9/22(土)から千葉は秋になりました。日曜の今朝は小雨が降っています。雨は好きじゃないですが…なんだかご機嫌です。

先日の月曜日は…巣鴨でのとってもディープな志の輔師の独演会があって(もう9月なのにまだまだ暑いということから、夏のネタの
「千両みかん」と「へっつい幽霊」2席で夏の名残を楽しみました。)…ちょっと時間に余裕があったので丸の内三菱ビルでやっていた 「シャルドン展」も観てきました。

フェルメールのようには有名で無いので…ちょうど良い具合に空いていて…ゆっくりと観られ、静寂の巨匠とサブタイトルがついているように、静かなやさしいひとときになりました。

この夏は…カフェの方からの問い合わせが何故か多く…焙煎見学が数件あり…ビーンズショップの独立の相談もあったり…最後は、1月にプロバット焙煎機に替えてからも、ずーっと店に置いてあった18年半使ったフジローヤル焙煎機を譲ることにして、ブログでインフォメーションしたら、その日に2件の問い合わせがあり、どちらの方にお譲りするか悩んだ結果嫁ぎ先が決まりました。女性スタッフ3人が暇をみては嫁いでいく焙煎機をピカピカに磨いています。まだまだ活躍して、美味しいこーひーを焙いてくれるでしょう。感慨深いものがありますね。

そんなこんなで…最近感じているのは、どうも日本のスペシャルティコーヒー業界に疑問を持っている人が表面化してきているのかなということです。

12年前にスペシャルティコーヒーに踏み込んだ時…スペシャルティコーヒーは「カスタマーオリエンテッド」で「クラフト」…「お客様が美味しいと感じるもの」と教わりました。その時に…おぉ!素晴らしい♪…と感じて、クラフトとしてのスペシャルティコーヒーを磨いているんですが…業界は、素材さえ素晴らしければ良いと…素材自慢に走り、農園主との写真ばかりで、肝心のコーヒーの魅力は2つ3つの言葉だけ、しかもそれは資料丸写し、そんな店ばっかり…10年経ってもクラフトとしての焙煎やブレンドのノウハウの構築がされず…お客様が美味しいと感じることもないがしろにしています。

どうやらそれはおかしいじゃないかと感じている人が増えて来ている空気を感じたこの夏でした。(勿論、そういった声は以前から伝わってきていたんですが…その量があるラインを越えてきたのかな?って感じです。)

で、先日…千葉のお茶の名店関口園の奥さんが「職人ワザ!」(いとうせいこう著)という本をFacebookで紹介されてたんで即取り寄せて読みました。浅草を中心に江戸文字、手ぬぐい、鰻、効果音、テーラー、かりんとう、パイプ等々どれもゆっくりと味わいながら読みましたが…最初に登場した「扇子の文扇堂」の荒井修さんの話しには大きく頷きました。

ブン回しっていうコンパスのようなもので正六角形の亀甲紋から麻の葉模様等々様々な日本紋様を描く職人の技術があるんですが…そんな仕事の説明の中で度々でてくるのが「見当」という言葉なんです。

最近はあまり使わないかな?見当違いとか言いますよね、その見当です。職人の世界ではこの見当をつけるのが大事なんですね。限られた時間やコストの中での仕事ですし、必要以上に正確であっても意味ないんですね。

デジタルの時代ですから、焙煎の世界でもなんでもかんでもデータをとって、パソコンに取り込んで真面目に仕事しているつもりになっている例が多いですが、そのデータが効果的なものでないと意味ないですし、無駄に細かくてもダメなんです。

焙煎の本質を掴んで、必要なデータをとればいいんです。まぁある意味「見当」ですね。それで、狙った香りや味わいに焙ければいいし、勿論、再現性がなくちゃだめですけどね。(先日の焙煎見学の方は、あるグループに入っていて、キャリアも6年あるんですが…かケニアを6秒水分抜け甘くして焙き、ドンピシャの豆と並べてカッピングしてもらったら、最初どちらも美味しいって言っていたのが、冷めてくるにしたがって酸が微妙に重くなり、余韻の印象が悪く無るのを感じて、衝撃を受けていました。)

で、ヤッパリ!!って思ったのが…荒井さんが扇子の修行に入って、いつか歌舞伎座の舞台に扇子で一枚噛めたらなぁーと想い、その夢が30代でかなえられたのですが、舞台と扇子の話しになった時に…「扇子が目立っちゃいけないんだよね。衣装があったり、他の小道具があったり、照明があったり。そこで扇子が目立とうとすると、ろくな舞台にならねえ」

玉三郎の扇子の話しで…「だから、例えば次の舞台用にってお玉さんに頼まれてもさ、仕立てるときにはデザインを見せたときよりも色を一杯だけ薄くするの」「あとさ、舞台に限らないけど、俺たちはノゾキって手を使うんだよ。例えば、月を描こうとして全部を扇子の中に入れちゃうと小さくなるでしょう?だから全部を描かない。ある部分だけを描いて、あとは外にだしちゃう」

想像にまかせる。

「空き地をどこに作るかなんです、勝負は。自信のないやつに限って全部埋めるわけ。だけど、”うめえな”って、一拍置いて”うめえな”って言えるものって、みんないい空き地を作ってるよね」

さらに…「一点物の職人と、数物の職人で違うね。俺は一点物の職人だから、考えて考えて考えた末にくみ上げてくわけでさ」

アーティストとアルチザンの話しに…一点物の仕事も全部職人の仕事と説明して…「俺たちの時点で芸術だなんて思ってない、だからアルチザンなんですよ。俺たちのところまではアルチザン。でもアルチザンの集合体でアートに持っていこうという了見があるわけです」

いいですねー!!…スペシャルティコーヒーはクラフトですし、僕自信職人仕事が好きでこの仕事に入ったわけですが…職人にも色々とあって…いい意味でつかわれるような職人は実際は少なくて、けっこう手抜き大好きな職人が多いんですね。

で、アーティストとアルチザンの話しには膝ポンでした。「一点物の職人と、数物の職人」は分かりやすいですね。

この間の土曜日は、サンク・オ・ピエでのいつものワイン会でした。サンクのシェフは「一点物の職人」です。
http://plaza.rakuten.co.jp/cinqchef5/diary/201209180000/

ニュージーランドのピノ・ノワールがテーマのワイン会だったのですが…メインの「牛ホホ肉の赤ワイン煮込み」にはみな唸りました。
焼いても硬くて食べられないホホ肉を…滑らかで、きれいな味わい、上品なコクと透明感、味わい深さと見事なお皿でした。そーそー、勿論柔らかいのは当たり前ですよ。

最初に強火で肉の表面を焼きつけるところでも…一般的には壁を作り、煮崩れないようにしっかり焼きつけると言われていますが…実際にはこれは焦げ目で煮込み料理に香ばしさを追加したいからだそうです。

「よく肉を焼く話で私が書いていますが、「肉を焼いて壁を作るといいますが、実際には壁などできません。」焼いた肉の香ばしさが煮汁に溶け込むことにこそ意味があるんですね。ですから、表面だけしっかり焼き色さえつけばいいんです。中にまで火は通す必要はありません。ですから、この作業はルヴニール(強火で焼く)という言葉を採用します。」と書いています、納得ですね。

次に「軽く焼き色をつけた、ミルポワ(香味野菜、玉ねぎニンジンセロリニンニクなど)を入れた鍋に肉を並べ、赤ワインをひたひたに入れます。今回はホホ肉5キロに対して、赤ワインを8本使いました。この量が肝心です。ここで赤ワインの量が少なかったり、あまりに安物を使うとこの料理は美味しくできません。今回は、ニュージーランドの上質なピノノワールを味わうワイン会用の料理だったので、ピノノワールに近い品種の南アのピノタージュを2本、イタリアのサンジョベーゼを4本、チリのピノノワールを2本使いました。」

この数日後、涼しくなってきたので久々に日本酒を買いにいまでやさんに寄って…シェフのお弟子さんでもあり、今はいまでや酒店でワイン担当をしているOさんとこの「牛ホホ肉の赤ワイン煮込み」の話しになりました。

そこででたのがこの3種類のワインを使っているということでした。これはさかもとこーひーでも時々使うテクニックで…豊かなコクのブレンドを作りたい時、深く焙いた豆を使いがちなんですね。すると、苦めになるだけで、円やかで豊かなコクにはならないんです。苦いブレンドを作りたいんなら良いですけどね。そこで、共通したキャラクターでも少しずつ違う豆を数種類ブレンドすると、コンプレックスと言いますが、複雑さがでて、薄っぺらい味わいにならないんです。まぁ、円やかさとか豊かなコクは使う豆と焙煎によりますが…。

ソースの仕上げでは…「別の鍋にピノノアールを1本入れて強火で半分くらいに煮詰めます。これを煮汁に加えてさらに煮詰めます。ここで赤ワインをもう1本加えるのは、ワインの色素をだいぶ肉が吸い取ってしまうので、ソースに色付けをしたいのと、新たに新鮮なワインの風味を追加したいからです。全体が最初の1/3くらいにまで煮詰まったら水溶きコーンスターチで少しだけとろみをつけます。これでソースのベースの出来上がり。とにかく、ここで丁寧にアク取りすることが、つやのある綺麗な味わいのソースにするコツです。」

「赤ワインをこれだけたっぷり使いながら、くどくなくスーッと溶けるような味わいに仕上がりました。こういう料理はよく、「ワインを飲まないときつくて食べずらい」なんて言う人がいますが、この料理はワインなしでも普通に美味しく召し上がれますよ。ワイン会のみなさんも「何の引っ掛かりもなく、スーと来てとろける。綺麗な味わいだね。」と好評でした。」

「雑味の無さ、肉の旨味とワインの味のバランスなど、こういう煮込み料理の味わいを考えるときに最近のさかもとこーひーの味わいとダブりますね。苦くて濃くて引っ掛かるような昔のこーひー、濃くて重たい古いスタイルの煮込み料理に対して、ワイン会でいただいたコスタリカ・シンリミテスの思わず「やばい」としか言いようがないほどの綺麗な味わいのさかもとこーひーとこういうピュアなスタイルの煮込み料理ということで、イメージが重なるわけです。」

と、いうことで…秋に向けて、最高に美味しい仕事にするための 「職人ワザ!」話しでした。

「この味を知ることができて幸せです。」…お客様にそう言ってもらえるようなこーひーをお届けしたいと思っています。

 

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*グループでのご注文の際は、人数をお知らせください。
 メニュー小分け袋等、人数分同封いたします。

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【選べるSセット】

1050円/250g〜の豆3袋以上で、セット価格、1050円/250gになります。 (同じ豆でもOK、各250g)
オークションこーひー等1890円/250g〜の豆は、「1050円+525円」になります、お楽しみください。

グループでのご注文の際は、人数をお知らせください。メニュー等、人数分同封いたします。ギフトにもご利用しやすいと思います。手さげ袋ギフトラッピング(小1〜2個用、大3〜4個用、無料)もご利用ください。分かりにくい点ご質問等ありましたら、お気軽にお尋ねください。

《コスタリカ・シンリミテス(+525円)》
《モカ・シダモ(+525円)》
《ベラ・ノッテ》
《ペーパームーン》
《ブラジル・サンタエレナ》
《カフェフィガロ》
《ドリップバッグ・カフェデイジー》
《ドリップバッグ・カフェフィガロ》

他1050円/250g〜の豆から選べます。

 

【トレジャーズセット】250g×3袋

さかもとこーひーのお宝コーヒーセットです。お楽しみください。

《コスタリカ・シンリミテス》
《モカ・シダモ》
《ケニア・カリンドンドウ》

4200円(税込み)

 

【《旬・瞬》Cセット】250g×3袋

毎月さかもとこーひーの一番人気のセットです。お楽しみください。

《ベラ・ノッテ》
《ペーパームーン》
《ブラジル・サンタエレナ》

3150円(税込み)

 

【深煎り定番Bセット】250g×3袋

深煎り定番こーひーと、《旬・瞬》な深煎りこーひーの組み合わせで、毎月内容を変えていきます。

《ベラ・ノッテ》
《カフェフィガロ》
《マンデリン・ボナンドロク》

3150円(税込み)

 

【ジョイセット】100g×5袋

お陰さまでご好評頂いてすっかり定着したジョイセットです。さかもとこーひーの何がお好みか判らない方やギフトで先方のお好みが判らない等、迷った時にこの「ジョイセット」を選ばれることも多いようです。

「うちは量はそれほど飲めないんだけども、色々なこーひーを楽しみたいのね。それで、いつも何を頼もうか悩んでしまうの!」…そんな声を今迄たくさん頂いてきました。[いい感じの苦味系]と[軽やか系]に分けて、それぞれのお好みに合うよう新しいこーひーを毎月出して、セットにしてきましたが…でも、全部頼もうとすると量が多くなってしまう…そんなみなさんの声にお応えします。

その時の《旬・瞬》なお勧めこーひー100gを5種類、セットにしました。(手さげギフト袋(小1-2個用、大3-4個用、無料))

《コスタリカ・シンリミテス》
《モカ・シダモ》
《ベラ・ノッテ》
《ペーパームーン》
《ブラジル・サンタエレナ》

3150円(税込み)


 

・・・はじめてのさかもとこーひー(通販専用)・・・

【はじめてのAセット】100g×5袋

さかもとこーひーはじめての方向けのセットです。その月の最高峰、お勧めこーひーをはじめての方限定のお試しセットにしています、お楽しみください。

《コスタリカ・シンリミテス》
《モカ・シダモ》
《ベラ・ノッテ》
《ペーパームーン》
《ブラジル・サンタエレナ》

2625円(税込み、送料・無料、さかもとこーひー初めての方限定、ギフトはご遠慮ください。)


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では、また・・・。

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*要注意!…さかもとこーひーのコツは…
[挽きは細かく]
[粉の量は少なく]…です!
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手さげ袋ギフトラッピング
(大2〜4個用、小1個用、無料)がご好評です。
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【毎月お届けコース】

お届けの量やご予算、お好み等お知らせください。勿論セットでも大丈夫です。セットにプラスしても大丈夫です。価格、送料等は通常のお届けと同じです。(最初はメールでご相談してください)
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いつでも♪《3000円以上(コーヒー)で送料無料!》
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【代金引換払い】ご希望の方はお知らせください。
4200円以上、代引き手数料無料
4200円未満、代引き手数料210円
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クール便(冷蔵、210円)ご希望の方は、連絡欄でお申し付けください。

 

【何を買ったら良いのか?お勧めは?その他ご質問等お気軽にメールしてください、お待ちしてます。】

 

【お願い】
冷凍保存した豆や粉を取り出したら、何よりも直ぐに!!袋を元の冷凍庫に戻してください。
冷凍、解凍の繰り返しは劣化を早めます。ジッパー付き袋をその為に使っています。
(豆は2週間以内でしたら、常温保存をお勧めします。粉は必ず冷凍保存をお願いします。)

《コーヒーはフルーツだ!》

2012年09月23日 坂本・丁寧な暮らし・孝文