焙煎とマーケティングの実際 3

「小商圏商法と大商圏商法」

 「小商圏」と「大商圏」は分ると思います。
ではそこに「商法」がつくと意味がどう違うのでしょう。
当店の特徴は「大商圏」で「小商圏商法」をしていることです。
デパートは大商圏で大商圏商法です。喫茶店や町の商店は小商圏で大商圏商法です。
 簡単に云うと「顧客管理」「個客管理」ができるか、しているかという事です。顔を知っているだけではなく、お客様のおところ、お名前を知っているか、それ以上にお好み等まで分り親しみを持って戴いているかが大切です。
管理というとパソコンがどうしたデータベースがどうしたという話しになりますが、大企業は別にしてツールの問題ではありません。

 当店では開店以来カードにお一人お一人お名前、おところ、TEL、豆か粉か、使用器具、ご購入の月日、品名、量を手書きしているだけです。
さすがに最近はパソコンで解決することを考えていますが、効率化するだけでお客様の顔が浮かぶ商売にかわりはありません。
それがあるので、もし大きな店が隣にきてもつぶれないで安定した商売ができるとおもっています。
まさに昔の商いの「のれん」「看板」「信用」がいのちと云われたことと同じで、「お客様ときずいた関係」「個客カード」が財産となります。
 高度成長時代やバブル期にはそんなゆっくりとした一人一人のお客様との関係作りはビジネスとみなされなかったようですが、今はデパートから通販から、データベースのツールの飛躍的な進歩により、熱心に取り組んでいますが購入したリストを使ってはやはり説得力にかけるようです。

 今つらいのは小商圏で大商圏商法をしている喫茶店や町の商店です。お客様は日本中ばかりか世界中を回り情報を得ています。
普段でも行動半径はとても広がっています。
それだけ比較されます。
そして商いは手探りしかなくキャリアが蓄積されません。
多少頑張っても大手企業が小さなマーケットまでどんどん進出しています。
販売促進も個客管理もできずに、小さい店の中だけでぐるぐると回っているしかありません。
デパートは大商圏で売れた時代がとっくに去り、あえぎながら顧客管理に挑戦していますが大所帯にはつらいようです。しかし、他に良い方法はありませんので手法の熟達にエネルギーを注ぎます。
 ファミリーレストランの苦戦も似たようなものです。
ものめずらしいと云う付加価値が通用した時は良いですが、普及すると、打つ手打つ手が手探りで大分お客様の望むものとのギャップが大きく、失敗を重ね高い授業料を払ったようです。
拡大競争の中でお客様の満足を軽視してきた体質はなかなか変わりません。
 その点、マックやセブン11はスケールメリットとデータを絶妙に組み合わせて、1店1店は小商圏でありながら、トータルで大商圏を得て、しかも、データ管理により個々人のニーズを掬い上げるような、会話をしているような企画を次々と出してきます。
そうなると、大商圏商法の得意な成長スピードのアップが凄まじい勢いで実現します。

次回は当店が「大商圏」で「小商圏商法」を意識的に行っているお話を致します。

 
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